デジタル広告業界に逆風 〜 広告遮断ソフトウェア増加で220億ドルの喪失

 デジタル広告代理店業界にとって大きな逆風が吹いている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたアドビ(Adobe)とペイジフェア(PageFair)の調査によると、広告表示を遮断するソフトウェアの利用がインターネット利用者のあいだで激増しており、その結果、2015年に広告遮断機能によって喪失するオンライン広告売り上げが220億ドルに達する見込みだ。2014年比41%の増大で、オンライン広告代理店にとって非常に深刻な状態になっている。

 両社によると、インターネット利用者全体の3分の1は、広告を遮断するなんらかのソフトウェアを使っていると見積もられる。

 広告遮断ソフトウェアの利用激増は、プライバシー懸念とデジタル広告普及を反映したものだ。昨今のインターネット利用者は、ウェブ・ブラウザーのクッキーが利用者の閲覧履歴を記録することや、利用者のオンライン行動を追跡する広告技術が広まっていることを知っているため、プライバシーを守るために広告遮断ソフトウェアの活用を積極化させている。

 ソフトウェア業界には、そういった動向を受けて、デジタル広告遮断ソフトウェアを開発して流通させる企業が数十社ある。ただ、それらのソフトウェアのすべてが、消費者情報を集めるデジタル広告機能を遮断できるわけではない。

 アドビによると、広告遮断ツールをもっとも使っている地域は欧州だ。ギリシャとポーランドのインターネット利用者の約35%は、広告遮断ツールをパソコンに実装している。ドイツの場合、その割合は25%で、米国では15%。

 もっとも人気のある広告遮断ツールは、独新興企業のアイオー(Eyeo)が開発したアドブロック(AdBlock)というソフトウェア。同社は最近、モバイル広告を遮断できるツールも開発した。

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