海外保管のメール開示に抵抗〜MS、当局の捜索差し止め要請
- 2015年9月10日
- 米国ビジネス
マイクロソフトは9日、アイルランドのサーバーに保存されている顧客の電子メールを開示するよう米政府に命じられたことについて、ニューヨーク州の連邦第2巡回控訴裁判所に令状の差し止めを求めた。個人のプライバシーを侵害する「世界的な混乱」の前例になるというのが理由。
ロイター通信によると、訴訟は米企業が海外に保管するデータの捜索差押令状に異議を申し立てた初の事例として、IT業界やプライバシー保護団体、メディアの注目を集めている。
訴えの対象となっているのは、薬物捜査の一部として発行されたダブリン在住者の電子メールに対する捜索差押令状で、個人名は記載されていない。
マイクロソフト側代理人のジョシュア・ローゼンクランツ弁護士は、裁判所が令状の行使を認めれば、他国が米国内で米国民のメールを差し押さえることが可能になると警告。「中国が私たちにこんなことをしたら大変なことになる」と語った。
これに対し、政府側のジャスティン・アンダーソン弁護士は、データがどこに保管されていようと、米国の警察機関は正当な令状があれば米企業が保有する電子情報を取得できると反論。銀行の口座記録の差し押さえに例えて「所有権の問題ではない。保管と管理の問題だ」と主張した。
マイクロソフトの訴えに対しては、アップル、ベライゾン・コミュニケーションズ、シスコ・システムズのほか、メディア大手マクラッチーやガネットなど100以上の企業・団体が支持声明を出している。
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