VW問題でパラジウム高騰〜現水準で持続へ

 独フォルクスワーゲン(VW)によるディーゼル車の排ガス規制逃れ問題を受けて、貴金属市場が動揺している。排ガスをろ過する触媒として使われるパラジウムが高騰する一方、ディーゼル車の触媒でより多く使われるプラチナは値下がりし、ロシアの貴金属大手GMKノリリスク・ニッケル(GMK Norilsk Nickel)は、パラジウムの高値が今後も持続するとの見方を示した。

 ブルームバーグ通信によると、パラジウムの価格はVWの排ガス不正が発覚した9月18日以降、16%上昇している。対照的にプラチナは3.4%値下がりした。背景には、不祥事を契機に消費者がディーゼル車からガソリン車に流れるという投資家の思惑がある。プラチナ相場とパラジウム相場の差は過去13年で最低を記録し、8月末時点ではプラチナ1オンスに対してパラジウム1.84オンスだったのが、現在では約1.35オンスまで差が縮まっている。

 ノリリスクでマーケティング戦略を指揮するアントン・バーリン氏は「原点に戻れば現在の比率で十分」と語る一方で、「ディーゼル・スキャンダルに対する投資家の反応はかなり感情的」で正当ではないが、この比率で安定する可能性が高いと述べた。これまでは相場の差が大きすぎたため、ガソリン車とディーゼル車のいずれの触媒にも使われている両貴金属の価値が正しく反映されていなかったという。

 バーリン氏によると、ガソリン車用触媒メーカーは、プラチナよりも価格が安いパラジウムを多用する。これに対し、ディーゼル用触媒はより多くのプラチナを必要とするため、パラジウムの含有量は約30〜40%にとどまる。

 ノリリスクにとってはパラジウムの方が重要で、上半期売上高に占める割合ではプラチナの8%に対して約23%に上った。

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