靴類専門オンライン小売業者のシューズ・ドット・コム(Shoes.com)は、消費者の商品閲覧行動にもとづき消費者の好みそうな商品を選んで表示する検索機能「視覚フィルター」の提供を目的に、人工知能(AI)専門のセンティエント・テクノロジーズ・ホールディングス(Sentient Technologies Holdings)と提携した。
シューズはカナダ・ドメインのウェブサイト(www.shoeme.ca)で12月1日から新たな検索機能を開始した。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、AI対応視覚フィルター機能の仕組みは、まず、靴の画像をずらりと表示し、欲しい靴にもっとも近い靴を閲覧者が一つ選んでクリックすると、新しい靴を次々に見せクリックさせることで、ソフトウェアが閲覧者の好みを学び、表示対象を絞り込む、というもの。
たとえば、閲覧者が紫色の雨靴をクリックすると、紫々の雨靴を多めにほかの色の雨靴や、柄やデザインの違う雨靴を表示する。閲覧者がひも付きのデザインを選ぶと、ひも付きの商品が候補商品として列挙される。
AIはシリコン・バレーで現在注目される技術だ。特にソフトウェア分野では、消費者のクリックやオンライン行動の微妙なパターンを見つけ、消費者が欲しいものを示す前に嗜好を予想するために活用されている。
AIを利用する視覚フィルター機能は、電子商取引市場の拡大につながる、と一部で期待されている。米国勢調査局によると、電子商取引売上高は2015年第2四半期に前年同期比14.1%増を記録したが、小売売上高全体では7.2%に過ぎず、成長率は鈍化しつつある。
フォレスター・リサーチによると、視覚検索の導入は電子商取引企業にとって長年の課題で、業界最大手のアマゾン(Amazon.com)も2010年に視覚検索機能を発表したものの現時点でまだ実現していない。
一方、ウェブ上の画像選別のためにAIを利用する研究は技術系大企業と新興企業の双方で進んでいる。グーグル(Google)の持ち株親会社アルファベット(Alphabet)とヤフー(Yahoo)は、写真に写った物体を識別するAIツールを発表している。
商品画像共有サイトのピンタレスト(Pinterest)も同社サイトでの商品発見と購入を支援するAIツールを導入しており、写真いちばのアイエム(EyeEm)も、出版社による写真検索を支援する目的で視覚発見エンジンを使っている。
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