日本の大都会を駆けるお座敷列車に最高賞
2017年度の「鉄旅オブザイヤー」
- 2018年2月13日
- ニュース
日本の優れた鉄道旅行の企画商品を表彰する2017年度の「鉄旅オブザイヤー」が2月7日に発表され、最高賞のグランプリにJR東日本のお座敷列車「宴(うたげ)」を貸し切って東京と千葉、神奈川の1都2県を周遊したクラブツーリズム(東京)の日帰りツアーが選ばれた。窓が大きいお座敷列車を活用し、通常は旅客列車が通らない貨物線を組み込むことで、大都会の隠れた魅力を存分に楽しめる企画力が高く評価された。
鉄旅オブザイヤーはJR旅客6社や日本民営鉄道協会、日本旅行業協会などの後援のもと、実行委員会主催で毎年実施。今年度の審査対象は旅行会社が16年11月~17年10月に実施した企画旅行で、過去最高の計114件の応募があった。
「宴」は松戸(千葉県)や逗子(神奈川県)などを経由して、総走行距離240km超を7時間15分かけて運転。受賞したクラブツーリズムJR販売センター販売課長の大塚雅士さん(49歳)は、さいたま市の鉄道博物館での授賞式で「グランプリ受賞は本当にありがたい。参加者(の在住地)は、北は北海道から南は熊本県まで及び、なかには3回来てくれた顧客もいた」と自信満々に語った。
会場では審査員のコメントが紹介され、元祖鉄道アイドルの豊岡真澄さんは「お座敷列車だけでもすごいのに、そこに貨物線をかけあわせてダブルで楽しめるなんてスペシャルすぎて文句なしの一位です!!」と絶賛。共同通信社の前ニューヨーク特派員、大塚圭一郎・編集局経済部次長は「一見すると割高ながら、秘めた商品性はコスパが非常に高くて参加希望者が殺到した鉄旅の『玉手箱』です。ホームラン級の成功で、そのできばえに『これこそプロの仕事だ!』とうならされました」と称賛した。
準グランプリは、千葉県の観光地を走る銚子電気鉄道の「七夕列車」に乗車する読売旅行(東京)の商品が受賞。審査員特別賞には、北陸新幹線の貸し切り列車を走らせ、車内で富山、石川、福井各県の地酒や菓子などを紹介して地域振興に一役買った日本旅行(東京)のツアーが選ばれた。
これまで受賞していない企業が対象のルーキー賞は、寝台電車で島根県を訪れて京王電鉄で活躍していた旧型車両や、18年3月末で運転を終える三江線などに乗る京王観光(東京)のツアーが受賞。JRグループなどの観光企画「デスティネーションキャンペーン」(DC)の開催地を対象にしたDC賞には、DC開催期間中の山口県を訪れて蒸気機関車(SL)が引くレトロ客車の乗車などを楽しむクラブツーリズムの商品が選ばれた。
一般の鉄道ファンから企画を募る「ベストアマチュア賞」には60件の応募の中から、島根県のJR山陰線の列車内で参加者同士がじゃんけんし、負けると次の駅で下車するルールで進むという予期しない出会いや観光を味わえる、神奈川県秦野市の公務員、吉田直哉さん(51歳)の作品が選ばれた。
(共同通信社編集局経済部次長・大塚 圭一郎)
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