大統領選挙の結果を受けて、海運業界に衝撃が走っている。
ウォールストリート・ジャーナルによると、業界は現在、ここ30年で最悪の不況に見舞われているが、選挙中から自由貿易に反対する立場を強調していたドナルド・トランプ氏が次期大統領に決まったことで、業界の痛手がさらに深まるのではないかとの懸念が高まっている。
トランプ氏は、全般的に保護主義の色が濃い反国際化の立場で、北米自由貿易協定(NAFTA)や環太平洋経済連携協定(TPP)のような国際貿易協定を繰り返し批判しており、短期的には業界の取引量は減少する可能性が高い。業界大手は欧州やアジアより高い成長率が予想される米国に不況脱却の望みをかけていた。
懸念の1つは、米国の新政権が保護貿易路線を推し進めるかどうか。コペンハーゲンのシーインテリジェンス・コンサルティングのラース・ジェンセン最高経営責任者(CEO)は「その波紋で他国にも同様の動きが広がれば海運業界のリスクが一層高まり、中長期的に世界の海運や港湾業界が打撃を受ける」と話す。一方、米スコルピオ・タンカーズのロバート・バグビー社長は楽観的で「クリスマス・プレゼントの習慣をやめる人はいないと思う。ビジネスはビジネスで、トランプ氏は世界の貿易を乱して1期だけの大統領になることは望んでいない。彼もすべての政治家と同様、貿易相手国との協議では公に見せる建前と本音があるはず」と見ている。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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