一定の年齢の米国市民および永住権(グリーンカード)保持者の男性は、選抜徴兵に登録しなければなりません。登録したからといって兵役義務が発生するわけではなく、国の緊急事態時または戦時中に兵員が必要となった場合を想定し、選抜して徴兵できるよう登録者名簿を政府が保持することを目的としたのが、選抜徴兵制度(Selective Service System = SSS)です。移民法に関係するところでは、登録する必要のある者が登録を怠った場合、のちの帰化申請や永住権抽選の当選、または外国人との結婚でスポンサーとなる場合などに大問題となることがあります。
具体的には、18歳から25歳の間の男性はSSSに登録する必要があり、法律では18歳の誕生日から30日以内に登録することが義務づけられてます。対象となるのはアメリカ市民、グリーンカード保持者、不法滞在者、亡命者や難民、アメリカ市民権を保持する二重国籍者などです。外交官関係のビザ、貿易関係のビザ、学生・観光ビザ、季節労働者など、非移民ビザで一時的に米国に住んでいる者は除外されています。ただし、それらの有効な非移民ステータスを失い、その後も米国に滞在し続ける場合、不法移民となるためSSSに登録する必要があります。重要な点として、SSSは外国人の移民ステータスの有無に関する情報を収集しないことを明示しています。 ですので不法移民が登録したことによって、みずからが強制送還されるといったリスクは発生しないようになっています。不法移民は社会保障番号(Social Security Number = SSN)がなくてもSSSに登録できますが、その後にSSNを取得した場合、SSSに通知する必要があります。
SSSの登録を怠った場合、重大な結果を招くこととなります。たとえば移民局の方針マニュアルによると、登録を怠っていた申請者は、帰化申請の際にステータス情報レターと登録確認カードを提出するよう要求されることがあります。この時、申請者は怠ったのは故意ではなかったことを証明する機会が与えられます。しかし、帰化するための要件の一つにあるのが、過去5年間の道徳的な人間性(Good Moral Character)。つまり、法律違反があると帰化取得要件を欠くことになり、未登録が故意ではないことを証明することができない限り、帰化することはできません。特に18歳から31歳の男性でSSS登録をしなかった方は、帰化対象外となる可能性があるので注意しましょう。 登録はウェブサイト(https://www.sss.gov/)で簡単にできます。またこちらのウェブサイトでご自分がすでに登録されているかもチェックできますので、一度確認してみると良いでしょう。
※本コラムは顧客からの質問を一般的なケースに書き換えたものであり、読者への情報提供を目的としたものです。特定事例における法的アドバイスが必要な場合は、専門家に相談してください。
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