イスラム社会に誤解も 「表現の自由」確立の米

 【共同】「表現の自由」が確立した米社会では、政府は映画やビデオの内容に原則として関与しない。しかし、イスラム教の預言者ムハンマドを侮辱する映像について、中東やイスラム社会では「米政府承認の下に制作された」との誤解もあり、米政府はいら立ちを募らせている。

 「私たちと何の関係もないひどいビデオのせいで、米大使館に怒りと暴力が向けられている」

 クリントン国務長官は14日、リビアの米領事館襲撃事件で死亡した4人の追悼式典で訴えた。

 今回の騒動では当初から、米国と中東の間に認識のずれがあった。米国では、政府が映画やビデオの内容を細かく規制しないことは常識。抗議のデモ参加者が求める作品の封印や制作者の処罰も作品自体は法に抵触しないため困難だ。

 ホワイトハウスは、映像が投稿された動画サイト「ユーチューブ」を傘下におさめる米グーグルに、映像が利用規則に照らして閲覧制限ができないか検討するよう要請。だが、グーグルは規則に抵触しないとしてこれを拒否した。

 ホワイトハウスのカーニー報道官は「われわれは映像の内容を拒絶する」として米政府は作品と無関係と強調しているが、独裁体制が長く続いたアラブ諸国では「政府の許可なく侮辱映像を制作できるはずがない」との認識が強い。

 米国務省のヌランド報道官は「米政府にとってもビデオは不愉快。中東の市民には(表現の自由を重んじる)米国の文化や社会が理解されていない」と懸念を表明した。

 オバマ氏は当面、各国政府に働き掛けて「秩序が回復し沈静化することを願う」(ヌランド報道官)しかない状況だ。

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