米技術業界重鎮ら、トランプ氏の激励をあいついで表明 〜 暗殺未遂速報を受けて続々と投稿

ベンチャービート誌によると、民主党支持業界として知られる米技術業界の一部からは、7月13日に起きたドナルド・トランプ前大統領暗殺未遂事件を受けて、命に別状がないことに安堵し一日も早い同氏の回復を願うというメッセージをあいついで発信した。なかには、大統領選挙での支持を表明する応援投稿もある。

▽トランプ氏、銃撃から2時間半後に選挙戦への意欲を投稿

2024年11月に実施される大統領選挙に向けて、共和党の候補者指名獲得をねらうトランプ氏は、遊説先のペンシルベニア州バトラーでの演説で登壇した際、約120メートル離れた建物の屋上に腹這いになってライフルをかまえていたトーマス・クルックス容疑者に右耳を撃たれた。

かけ寄った警護官らは、その場ですぐにしゃがみ込んだトランプ氏の盾になるよう囲い込み、約1分後に立ち上がって、近くの車に乗り込んだ。同氏はすぐに病院に搬送され、2時間半後にはソーシャル・メディアに投稿し、暴力に対する非難と自身の無事、選挙戦への意欲をあらためて強調した。

その間、別の建物の屋上に待機していた警護狙撃手たちがクルックス容疑者の頭部を撃ち、射殺した。

同事件では、演説に集まった有権者の一人が流れ弾に当たって死亡したほか、二人が重軽傷を負った。

▽イーロン・マスク氏、トランプ支持を表明

技術新興企業6社の所有者であるイーロン・マスク氏は、トランプ氏と良好な関係とは言いがたいシリコン・バレー重鎮とみられていたが、同事件が大きく速報された直後に、大統領選でトランプ氏が再選するために全面的に支持する、とエックスに投稿した。

トランプ氏は何年か前に、自身のソーシャル・ネットワーク「トゥルース・ソーシャル」でマスク氏を攻撃したことがある。「長距離を走れない電気自動車や衝突する無人自動運転車、どこにも行けないロケットをはじめ、補助金がなければ何の価値もない多くの事業しかできない」とトランプ氏はマスク氏を嘲笑していた。

マスク氏がエックスでトランプ支持を公言したのは今回が初めてだ。

▽ベゾス氏やクック氏、ナデラ氏ら、激励をつぎつぎに投稿

一方、2015年に自身の宇宙開発会社ブルー・オリジンのロケットに「(トランプ氏を)乗せたい」と嫌味を発言したことがあったトランプ批判者として知られるジェフ・ベゾス氏(アマゾン創業者)は同日、「トランプ氏が今夜、文字通り砲火のなか、とてつもない優雅さと勇気を示した」「彼の安全にとても感謝している」とエックスに投稿した。

そのほか、アップルのティム・クックCEOは、「トランプ大統領の早期回復を祈る」とエックスに書き、グーグルのサンダー・ピチャイCEOは、「トランプ大統領の一日も早い回復を祈る」とエックスに投稿した。

かたや、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、「われわれの社会におけるあらゆる種類の暴力」を断罪すると同時に、「トランプ大統領の一日も早い回復を祈る」とエックスに書いた。

さらに、オープンAIのサム・オルトマンCEOは、「トランプ大統領が無事で本当によかった」と叫ぶように表現した短文をエックスに投稿した。(編注:米国では、過去の肩書きを敬称または称号として使うため、大統領経験者に大統領という敬称をつけて呼ぶ)

▽トランプ当選にそなえるという目的も

技術業界要人たちのトランプ応援投稿は、同氏が当選してホワイトハスが共和党に変わる場合にそなえた社交辞令という性質も多分にあると思われる。

また、生成人工知能を悪用した精巧なディープフェイクによる声や動画を使う偽情報発信が問題視されるなか、選挙戦への悪影響が懸念されているため、技術業界への政治的圧力も強まっている。

特に昨今では、議会や政府でも人工知能技術に関するなんらかの法律や規制の整備に動きつつあることから、米技術業界は現在、政界とのかけ引きや関係構築が重要な局面にある。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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