新興企業のディープグリーン、農作物保護に人工知能 〜機械視認と解析で病気を検知

 ディープグリーンが開発した農作物監技術によって、作物栽培への人工知能応用機会の拡大期待が強まっている。アメリカンイノ誌が報じた。
 
 ▽大麻の栽培状態を監視
 
 ディープグリーン(deepgreen)は、欧州出身の二人の人工知能技術工学者によって2017年夏にコロラド州ボウルダーで起業された。
 
 同社は、機械視認技術と作物分析プラットフォームを開発し、大麻の栽培状態を監視して病気から守る農家向け技術を提供し、その応用範囲を拡大することで今後の成長が期待される。
 
 同社のアプリケーションは、栽培環境を監視しながら有害植物や有害要因を特定するカメラ群を使い、作物を効率的かつ効果的に守る。
 
 ▽農業地域に進出
 
 ディープグリーンは現在、ミネアポリスをはじめ農業の盛んな地域の農家を標的市場として、人工知能基盤アプリケーションの販促に注力している。
 
 同社は、大麻栽培に特化した農業技術新興企業育成サービスのキャノピー(Canopy、 ボウルダー拠点)に2017年に受け入れられたことで本格的な事業化に着手した。コロラドは大麻の医療利用が盛んな州の一つ。
 
 ▽農業技術新興企業の育成が盛んに
 
 農業技術市場は過去数年間にミネソタ州で劇的に成長した。ミッドウェスト・パントリー(Midwest Pantry)やグロウ・ノース(Grow North)といった団体が登場し、地元の農作物栽培技術や農業技術起業家らを支援している。
 
 ミネソタには、ほかの都市と同様に、起業家や新興企業らが事業案の将来性と資金獲得を競うミネソタ・カップという大会がある。ミネソタ・カップは、飲食品および農業の部門を2014年に増設して、同分野での革新的技術開発に特化する起業家の発掘や新興企業の育成に注力している。
 
 そのほかにも、テックスターズという起業家発掘兼新興企業育成サービス団体は、農業技術の技術革新に特化した育成制度ファーム・ツー・フォーク(Farm to Fork)を 2017年に立ち上げ、先進技術を農業に応用する起業家や新興企業を集めている最中で、その拠点をセイント・ポールに置く準備を進めている。
 
 ▽「一般的農作物の80%に応用」
 
 ディープグリーンはキャノピーを卒業して以来、応用範囲を大幅に拡大し、現在では、一般的農作物の80%に応用できる人工知能アプリケーションを構築した、とディープグリーンのコリン・フェリアンCEOは説明する。
 
 同社は最初に、大麻の栽培農家向けに人工知能アプリケーションを開発したが、「現在、トマトから麦芽、大麦まで多くの作物を監視できるようにした」と同氏は述べた。
 
 ▽うどんこ病、葉錆、網斑を早期発見
 
 農作物にとってもっとも典型的な病気は、うどんこ病、葉錆、網斑の三つだ。同社のアプリケーションでは、手ごろ価格のカメラ群を使って作物の成長状態を監視し、機械視認技術と人工知能技術によってカメラからの視認データを解析し、それらのおもな病気を検知する。
 
 病気の早期発見は、温室栽培や屋内栽培にとって非常に重要だ。大麻は通常、室内で栽培され、一株が500ドルもするため、病気で死ぬと栽培農家にとっては大きな損失になる。
 
 また、室内垂直栽培の農作物も同社のアプリケーションにとって得意客になる。数フィート以上に成長する場合、栽培者たちには上部の状態が見えないため、機械視認技術が活躍する。
 
 ▽創業者二人はベトナムを拠点に
 
 ディープグリーンを起業したのは、フランス人のマキスム・クラウス氏とドイツ人のマックス・アンフライド氏だ。
 
 CEOのフェリアン氏は、キャノピーを介してクラウス氏とアンフライド氏に知り合い、ディープグリーンのCEOに就任した。クラウス氏は最高技術責任者を務め、アンフライド氏は最高人工知能責任者を務める。
 
 フェリアン氏は、ボウルダー本社を拠点にしておもにフェニックスとミネアポリスで市場開拓に専念している。クラウス氏とアンフライド氏はベトナムを拠点に新技術の開発とアジア市場の開拓機会を狙っている。
 
 【https://www.americaninno.com/minne/twin-cities-startup/how-deepgreen-uses-artificial-intelligence-to-save-crops/】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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