技術業界人15人に聞く2022年の支配的技術動向予想 ~ 台頭技術や社会変化、競争、世相を反映
- 2021年12月31日
フォーブス誌はこのほど、消費者向けと業務用の技術に関する2022年の傾向および動向に関する予想を15人の業界人および業界専門家らに聞き、それぞれの予想内容をまとめた。
1.ハッカーによる人工知能活用が増加
人工知能には、きわめて写実的な顔の画像を合成したり、フィッシング・メールを大量に個人化したりできるという脅威がある。それらの脅威はまだ一般的ではないが、今後はハッカーらが人工知能のそういった能力をサイバー攻撃や侵入に悪用するようになるだろう。*イアン・パターソン氏、プルリロック・セキュリティー(PlurilockSecurity)
2.分散データの統合
大企業らがさまざまの部署に分散して蓄積しているデータは、その量が増加するにつれアクセスしにくくなっている。埋もれるデータの未活用がさらに悪化するということだ。そのため、2022年には多くの会社が近代的なデータ管理プラットフォームやデータ・ファブリックといった新しい取り組み手法を導入するだろう。*スコット・グノー氏、インターシステムズ(InterSystems)
3.高度の検索最適化
検索エンジン最適化(SEO)は多くの会社が実践しているが、そのテクニックは2010年ころからあまり進化していない。2022年には検索や発見に関する新しい戦略が急増するだろう。有用または有益なデータや専門知識は社内のあちこちに眠っている。それらの採掘を支援するツール群も増えている。*バーナデット・ニクソン氏、アルゴリア(Algolia)
4.デジタル・ツイン技術
デジタル・ツインはあらゆる業界を変えつつある。過去1~2年は、大規模の産業施設や大がかりの設備での適用が中心だったが、今後は物理的な物体から事業資産の稼働状況だけでなく複雑な業務過程まで、すべての仮想模擬化の基本となり、リアルタイムでの調整や自動化を可能にしていくだろう。*シャガラヤン・アルカン氏、マイクロソフト
5.人と人のつながりを重視する医療技術
医療分野では、人と人のつながりを重視する技術が増えている。個人化した健康情報の発信のほか、患者が自宅にいながら医師と話せる遠隔(仮想)診察も親近感を高める効果がある。新型コロナウイルス・パンデミックによって一気に広まった仮想医療サービスは、2022年にさらに進化するだろう。*プニート・マヘシュワリ氏、ドックASAP(DocASAP)
6.ハイブリッド勤務の最適化
ハイブリッド勤務(遠隔労働と出勤の混合)を最適化するために職場環境や業務手順を見直す取り組みが続くだろう。新しい技術や空間設計を使って、自宅にいる従業員らと職場にいる従業員らの距離感を縮める動きは2022年にさらに強まるだろう。*シャヒーン・ヤズダニ氏、インターセプト(Intercept)
7.職場での自動化の拡散と加速
多くの会社は、モノのインターネット(Internet of Things=IoT)や人工知能、自動化といった台頭技術を駆使して人材不足の穴を埋めようとするだろう。事務職の自動化はボット(ソフトウェア)によって何年か前から浸透している。そういった動きが接客職にも拡散する動きは過去1年間に顕著となっている。小売店やホテルでは、セルフサービスのキオスクや自動注文機能の導入がさらに加速し、業務効率化の効果が実証され、さらなる普及が一段と進むだろう。*ジョー・ジェンセン氏、インテル
8.人材不足の継続
技術人材獲得競争は2022年になってからも継続する。2021年には「大量退職(GreatResignation)」(またはBig Quitと呼ばれることもある)と呼ばれる社会現象もあり、新型コロナウイルス・パンデミックを機に多くの人が人生や働き方を見つめ直し、退職者が続出した。これまでは新規採用に慎重だった会社も多かったが、人材獲得競争はすでに激化しつつあり、2022年には人材採用を本格化する会社が増えるため、人材不足がしばらく続く可能性が高い。*デイヴィッド・モイス氏、ディサイド・コンサルティング(Decide Consulting)
9.接続型テレビを介した販促と販売
接続型テレビ(アプリケーションまたは機器によってデジタル・コンテントを簡単に再生できるテレビ。スマートTVと呼ばれることもある)は、2022年に重要な役割りを担うようになる。データ主導の標的絞り込みや高度の販促効果測定ができるようになっていることから、広告媒体としての接続型テレビがさらに注目されている。業界団体の双方向広告ビューロー(Interactive Advertising Bureau)の調べでは、広告主の60%が2021年中に広告予算を従来のテレビ放送から接続型テレビに移行したと回答した。*クリス・パケット氏、ディープインテント(DeepIntent)
10.顧客体験を重視する技術
仮想現実(VR)や拡張現実(AR)をはじめ体験を主眼とする技術は、消費者の情報収集や購入決定をすでに変えつつある。2022年も多くの会社がそれらの分野への投資を続け、没入型の購入体験が増えていくだろう。*ジェイソン・ジャンツ氏、レディーモード(ReadyMode)
11.事務所再開とハイブリッド勤務激増にともなう課題
パンデミックによってあらゆることが仮想的に実行されるようになった。遠隔労働や遠隔医療、遠隔授業がその典型だ。2022年はその揺り戻しとして、多くの人がデジタルでのやりとりよりも物理的対面で一緒にすることを求めるようになるだろう。その結果、ハイブリッド勤務が激増し、生産性と従業員満足度の両面において、出勤者と遠隔勤務者の意思の疎通や協業の効率化、遠隔労働者らが疎外感を感じないような職場環境の醸成といった新たな課題に、多くの会社が直面するようになるだろう。*ヒキル・パチャンダラ氏、オプトフィデリティ(OptoFidelity)
12.デジタル変革のさらなる加速
デジタル変革は2022年にさらに加速する。デジタルに作成され、デジタルでのみ存在する文書を筆頭に、デジタル・ネイティブの事業資産には重要なメタデータ(データに関するデータ)が含まれている。メタデータは、データ分析の質を高めるうえで機械学習の訓練や機械学習による解析の有用性を高めることから、デジタル変革によるデータの収集および分析の増強によって重要な洞察がさらにもたらされるようになる。*オルガ・V・マック氏、パーリー・プロ(Parley Pro)
13.ブロックチェーン技術の活用範囲の拡大
ブロックチェーン技術は、業務用と消費者向けの用途で広く活用されるようになる。ブロックチェーン技術は、供給網の管理や詐欺防止、商品の追跡性と流通の可視化を大幅に高めるためにすでに使われている。2022年には、その活用範囲や活用方法がさらに拡大するだろう。*デイヴィッド・ヴァルヴァーデ氏、プラノス(Pranos)
14.複合経路での顧客サポート
ウェブサイト上でチャット機能を提供するだけでは、顧客サービスはもはや十分ではない。多くの消費者は昨今、質問がある場合に当該ブランドのソーシャル・メディアのページにアクセスしてサポートを得ようとしている。そのため、顧客対応の質と利便性を高めることの重要性がさらに高まると予想される。*トーマス・グリフィン氏、オプトインモンスター(OptinMonster)
15.設計段階からの持続可能性追求
持続可能性を設計段階から組み込んだ技術が増えるだろう。特に環境目標のための製品やサービスを商品とする会社にとって、それは不可欠な要件になる。*ボグダン・ニコアラ氏、ブライト・スペイシズ(Bright Spaces)
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