米国でスナック菓子の消費量が急増しており、クッキーやキャンディー大手は好景気に沸き、他の加工食品会社もスナック菓子市場でのシェア拡大を狙っている。
■パンデミックが消費を助長
ウォールストリート・ジャーナルによると、市場調査会社サカーナ・グループ(Circana Group)の調査では、1日に3回以上スナック菓子を食べる人が米消費者のほぼ半数に達しており、過去2年間で8%増加した。2022年の国内スナック売上高は前年比11%増の1810億ドルに上り、業界大手ほど大きな収入につながっている。チョコレート菓子大手ハーシーの売り上げは19年度から22年度にかけて30%増、食品・飲料大手モンデリーズ・インターナショナルは22%増となり、伸びは他の大手を上回った。
ハーシーのアンバー・ムライ戦略担当副社長によると、間食(snacking)は以前から米国民の生活の一部だったが、新型コロナウイルスの感染大流行(パンデミック)によって間食の機会が大幅に増え、ポップコーンやキャンディーなどの需要に拍車をかけた。人々は自宅での映画鑑賞やその他のグループ活動を通じておやつを食べ続けているという。
ハーシーは17年以降、塩味スナックの種類を増やすため、数十億ドルを投じてポップコーンの「SkinnyPop」やコーンパフ、ライススナックの「Pirate’sBooty」といったブランドを買収。生産施設の増強にも力を入れている。消費者は、食品価格の高騰で有名ブランド品の代わりに安い製品を求めているが、チョコレートなどのスナック菓子に関しては値上がりしても好みのブランドに固執する傾向が強いという。
■若者はスナックが食事
モンデリーズの洞察・解析担当グローバル責任者ニック・グラム氏によると、10~40代前半のミレニアル世代およびZ世代は、一般的に以前の世代より平均して毎日約10%多くのスナックを食べており、その理由の一つがより多忙なライフスタイルにあるという。また、年長の世代では「スナックは食事を無駄にする」といった考え方が主流だったが、ミレニアル世代にその考えはなく、間食を食事にしていると言われ、ビデオゲームの台頭がスナックの消費を後押ししているとの指摘もある。
サカーナは、米スナック菓子販売は23年に7~9.5%増加し、全食品・飲料の5.5%増を上回ると予想している。米国人の間食習慣を標的にした新興企業も多く、アンドレスト・スナックス(Undressed Snacks)は20年、ケールやほうれん草などを使ったスナックバー・ライン「savory salad bars」を発売。スヌーズ(S’noods)はパスタをチップ状にしたスナックヌードルを発売した。
既存の食品会社も急成長するスナック事業を強化しており、キャンベル・スープは2月、オリジナル製品よりも脂肪分を抑えた「ケトル・ブランド(KettleBrand)」ポテトチップスのエアフライ版を発表。これまで子ども向けだった商品を大人向けに販売するなど、スナックの範囲を広げる取り組みも行っている。
またシリアル大手ケロッグは22年、シリアル事業の分離を決定し、同社の北米スナック菓子売り上げの約70%を占めるチーズイット(Cheez-It)、プリングルズ(Pringles)、ポップタルト(Pop-Tarts)、ライスクリスピーズトリーツ(Rice Krispies Treats)などのブランドを抱える国際スナック事業ケラノバ(Kellanova)を立ち上げる。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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