物流サービス大手のフェデックスは先日、デックスアールと名づけた双腕ロボットを披露した。ワイヤード誌によると、同ロボットは、作業員らにとってもっとも面倒な仕事の一つであるトラックへの荷物積み込み作業を、三次元テトリスのように自動化する。
▽新興企業のデックステリティーが協力
デックスアール(DexR)は、大きさの異なる多数の箱を配送トラック積載空間内にできるかぎり多くかつきれいに積み込めるよう人工知能によって判断する。
そういった作業は機械にとって非常にむずかしいが、フェデックス(FedEx)は新興企業のデックステリティー(Dexterity、カリフォルニア州レッドウッド・シティー拠点)との協業によってそれを実現した。テトリスを現実世界において立体的にこなすような作業といえる。
▽機械視認カメラとライダーを活用
フェデックスの先端技術担当副社長レベッカ・ヨン氏は、「箱には、大きさやかたち、重さ、梱包材がさまざまの種類がある」ため、機械視認カメラとライダー(LiDAR=Light Detection and Ranging=光検知&測距装置)検知器を活用することで荷物を認識し、どの箱をどのように積み込めばすべてがぴったりと収まるかを計画できるように能力を可能にする必要があった、と話す。
箱を双腕によって持ち上げて積み上げていくデックスアールは現在、試験運用中で、それほど遠くない将来にフェデックスの施設群で広く展開される見通しだ。
▽人工知能アルゴリズムの訓練が要
産業現場用ロボティクスは近年、急速に進化している。人工知能と機械視認カメラによって物体を認識し、ライダーで自律移動および自律動作を実現したロボットが増えている。ただ、そこにたどりつくまでには、ロボットにソフトウェアを搭載する前に、仮想模擬化システムのなかで人工知能アルゴリズムを徹底的に訓練するという工程がある。模擬化システムから現実世界への移行がもっともむずかしい部分だ。
デックスアールは、人工知能を活用したさまざまの倉庫作業用ロボティック・システムの開発を専門とするデックステリティーが実際に製作した。
▽いずれは熟練作業員と同じ速さに
デックステリティーのサミール・メノンCEOによると、両社は現在、生成人工知能を活用することで、さまざまの種類の箱をどのように積み重ねればもっともうまく積載できるかを自律判断して自動化する研究に取り組んでいる。
デックスアールのシステムは、デックスアールが箱を積み重ねるたびに、物理的抵抗反応分析を使って箱がしっかりと収まるよう調整でき、積み重ねられた箱たちをカメラと深度検知器でスキャンし、既存モデルと比較することで積載状態を評価かつ確認する。くい違いがあれば、デックスアールは積み重ねの計画を変更する。
ヨン氏によると、完成途上にあるデックスアールは、最終的には、熟練作業員と同じ速さでトラック荷台に積み込むことができるようになると見込まれる。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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