チャットGPT(ChatGPT)の開発元として知られる生成人工知能開発最大手オープンAI(OpenAI)は8月28日、法人向けチャットGPTを市場投入した。
CNNによると、チャットGPTエンタープライズ(ChatGPT Enterprise)と名付けられた同ツールは、会社らが同日から購入できる。「企業利用に耐えうる高いセキュリティーとプライバシー」を実現した「チャットGPTの最強版」と同社は自社ブログに投稿した。
チャットGPTエンタープライズは、同社がチャットGPT自体を公開したとき以来最大の発表だ。
クラウド経由で提供される生成人工知能チャットボットは、利用側が回答を得るために専有情報をプロンプトとして入力する必要があることから、多くの会社では従業員らが仕事に使うことを禁止または制限している。自社従業員によるチャットGPTの社内利用を制限している大手にはJPモルガン・チェイスがある。
チャットGPTエンタープライズは、会社らのそういった懸念を払拭することで、安定した新たな収入源を創出しようとねらった製品だ。オープンAIは、利用会社らのデータや情報を使って人工知能を訓練しない、と明言し、専有情報の漏洩を懸念する会社らを安心させることに努めている。
チャットGPTエンタープライズの最初の導入会社には、フィンテック新興企業のブロック(Block)や化粧品大手エスティ・ローダー(Estee Lauder)、専門サービス大手のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)が含まれる。
オープンAIが2022年11月にチャットGPTを公開して以来、フォーチュン500社の80%以上の従業員らが同ツールを使っている、とオープンAIは少し前に発表している。同社はまた、チャットGPTを安全かつ簡単に使いたいと望む声が複数の大企業から届いている、と話した。
同社は、チャットGPTエンタープライズの利用料金を公表しておらず、利用を希望する会社らに対し、オープンAIの営業部に連絡するよう求めている。利用会社の規模や利用者数に応じて料金が大きく変動するためとみられる。
オープンAIに巨額を投資するマイクロソフトは、チャットGPTの技術を採用したビング(Bing)チャットを法人向けにすでに提供している。そのため、投資する側のビング・チャットと、投資を受ける側のチャットGPTエンタープライズはこれから直接競合することになる。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年4月29日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
米商務省、TSMCのアリゾナ工場への投資を提案 〜 米中緊張悪化を背景にチップの国産化に重点
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至
-
2024年4月25日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
広告嫌いのテスラが一転、積極展開
-
ビットコイン半減は価格にいかに影響するのか 〜 最高値更新から乱高下、次の半減期が目前に
-
2024年4月22日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ボルティモアの橋崩落、輸出・小売業者に影響
-
米国のMBA課程、人工知能分野の教育を積極化 〜 会社で求められる技能に学生側も関心を強める
-
2024年4月18日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
テスラ、急速充電網を開放~EV普及の節目となるか
-
2024年4月15日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EV生産コスト、27年にはガソリン車より安く~ガートナーが予想
-
人間の労働力の方が人工知能より安価 〜 MITの研究、雇用機会の大部分は人工知能にまだ奪われないと結論
-
ドローン配送に現実味~運用範囲広がる