スマートフォンを使って商品をオンライン購入するモバイル・ショッパーが増えているが、まだ高い買い物をする時はラップトップのパソコンを使う人が多い。このため売り手はできるだけスマホで衝動買いをしてもらおうと知恵を絞っている。
◇売上構成比はデスクトップ超え
ウォールストリート・ジャーナルによると、モバイルeコマースは何年も前から未来の買い物の形として歓迎され、インターネット通販店のほか航空会社やホテルも、消費者の目を引くためスマホに最適化したアプリの提供やウェブサイトの刷新に取り組んできた。
売り手側は、プッシュ通知やスマホ限定の特売などで消費者の購買意欲をかき立てており、こうした努力の結果、アドビのデータによると直近の年末商戦期はオンラインの売上構成比でモバイル・ショッピングが初めてデスクトップを上回り、クリスマス当日は61%に達した。
ただし、高額の買い物ではまだパソコンを使う人が多い。理由は、小売業者のアプリやモバイル版ウェブサイトが嫌い、クーポンや価格変動を追跡する拡張機能を備えたウェブブラウザを好む、カレンダーや地図を確認するため別のウィンドウを開きたい…などさまざまで、スマホで急いで買い物をして間違った航空券を買った経験があり、慎重に買い物をするためにもラップトップを使いたいという人もいる。
シアトル拠点の新興マーケティング企業で副社長を務める女性(38)は、買い物の前には必ずラップトップを開き、クーポンを検索し、クレジットカードの特典を最大限に活用するという。目の前にコンピューターがあり、パスワード・マネジャーが手元にあればカード情報の入力も簡単で、航空券を予約する際はカレンダーも確認できるからだ。専門家は、移動中でも使える電話と違ってパソコンは家やオフィスで使うため、気持ちを集中しやすいと指摘する。
◇弱点は小さい画面
販売業者は、モバイル・ショッピングをもっと簡単にしようと努力しており、アップルペイ、グーグルペイ、ショップペイなどのサービスは注文の際に請求先や配送先の情報を自動的に追加してくれる。アプリで買い物をする場合、通常はすでにログインしているため個人認証情報を取り出す必要はない。
また、モバイル・ショッピングはソーシャル・メディアを利用している消費者のつぼを押さえるようになっている。購入行動やクーポン利用を追跡するウェブサイトのSlickdealsによると、衝動買いをする可能性は、ラップトップ利用者の19%、デスクトップの10%に対し、スマホ利用者は48%に上るという。
便利さという要素は大部分の企業にとって有効なようで、ユナイテッド航空では2023年、アプリを通した航空券の購入が1億2300万回と前年比で23%増加した。民泊仲介サイトのエアビーアンドビー(Airbnb)では、前四半期の宿泊予約総数の54%がアプリで行われ、前年同期の49%から上昇した。
電話を使った買い物の弱点は画面が小さいという点で、画面の大きいラップトップの方が複数のタブを開いてホテルや航空券などを比べやすい。衝動買いの防止にラップトップを使っている人もおり、テキサス州在住のゴーストライター男性(31)は、オンラインで何かを購入する時はほとんどラップトップを使い、決心する前に少なくとも1日は待つことをルールにしているという。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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