経理業務を自動化しながら経理職維持をねらうライブフロー 〜 手作業部分に照準、会計士減少への対応を支援

会計および経理業務を人工知能によって自動化しながらも会計士や経理職の雇用機会を脅かさないソリューションを開発する新興企業のライブフローは、経理職や会計サービス業界に次なる革新をもたらしつつある。

テッククランチ誌によると、イブフロー(LiveFlow)のソリューションは、各社の経理担当者らが会計サービスや銀行、決済プラットフォームからリアルタイム・データをカスタム報告書と同期させ、仕事の流れを自動化し、さまざまのアカウントを統合して、全社的な協業を可能にする。

約40年前からデジタル化が進んだと言っても、実際には、経理担当者たちはいまでも、多種多様のシステム間でデータのやり取りの大部分を手作業で実行している。ライブフローのソリューションは、人工知能による自動化機能を手作業部分に適用する一方で、人間による判断や処理を必要とする部分では過剰に自動化していない。

その一方で、会計や経理の人材は減り続けている。米国労働統計局によると、米国内では2019年から2021年に30万人以上の会計士や財務監査人が離職し、米国の会計士数は2019年以降15.9%減少している。また、25歳から34歳の若手会計士と45歳から54歳の中堅専門職が離職している。

その流れを自動化によって早めるのではなく、くい止めようというのがライブフローの考えだ。同社のラッセ・カルカーCEOは、そのねらいと計画について、「人工知能を活用しながら会計士の職を維持し、会計事務所をより効率的にすることだ」と話した。

「基本的に、中小企業らは安心感を得るために会計士を雇う」「安心感を技術によって完全に置き換えることはできない」と同氏は指摘する。

同氏はしかし、そのために人工知能をどのように活用するかについては説明を避けている。「まだ開発中の段階で、2025年に市場投入したいと考えている」。

それでも同社は、起業初期の新興企業としては巨額の投資をすでに獲得した。同社は9月24日までに、総額1350万ドルを集めたと発表した。

投資獲得成功の要因としては、共同創設者のアニータ・コイマー氏とカルカー氏の存在が挙げられる。両氏は、フィンテック新興大手のリヴォルト(Revolut)の上席幹部だった。2021年ころに事業案を思いつき、新興企業育成サービス大手Yコンビネイターの成長加速制度(アクセラレイター)を経て、2021年にシード・ラウンドで最初の資金を調達した。

両氏はその間にも著名ベンチャー・キャピタリストたちとの人脈を構築し、今回、ヴァラー・ベンチャース(Valar Ventures)が主導したシリーズAラウンドを完了した。

ライブフローは現在、起業界では知られた工学者のエヴァン・オブライエン氏を迎えて、ニューヨーク市を拠点に製品開発の最終段階と事業展開戦略に取り組んでいる。

ライブフローは、初期の製品をすでに市場展開している。開発中の製品は、より高度の人工知能技術による自動化機能を可能にする最新版だ。同社はすでに、BDOやKLRといった会計サービス会社のほか、ウェンディーズやクラムブル・クッキーといったブランド大手らを顧客として獲得している。

その最新製品はライブフロー・ネクストと呼ばれ、会計事務所らがより多くの助言サービスを顧客会社らに提供できるよう設計されている。

ヴァラー・ベンチャースの創業パートナーであるジェイムス・フィッツジェラルド氏は、ライブフローの技術について、「人為的ミスをなくしながら膨大な時間を毎月節約するのに役立っている」と述べた。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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