オープンAI、月額200ドルのチャットGPTプロを発表 〜 推論モデルや同社製品群に無制限にアクセスできる新たな有料サービス

テッククランチ誌によると、オープンAI(OpenAI)は12月5日、生成人工知能チャットボット「チャットGPT(ChatGPT)」の新たなサブスクリプション・サービス「チャットGPTプロ」とその料金を発表した。

▽専門的な多用者らを想定

チャットGPTプロの利用料金は月額200ドルで、利用者らは、推論モデル「オーワン(o1)」の完全版を含むすべての同社製品に無制限にアクセスできる。月額200ドルという価格は、チャットGPTプラスの利用料の10倍だ。

チャットGPTには、個人向けや中小企業向け、教育機関向け、大企業向けがある。利用者のなかには、プログラミングから数学、作文までさまざまの用途においてモデルの能力を限界まで引き出すほど使っている人たちがいる。そういった専門的な多用者かつ常用者たちがチャットGPTプロの利用者となるだろう、と同社の技術者ジェイソン・ウェイ氏は話した。

▽最新のオーワン・プロ・モードを提供

オーワンは、タスクを通して推論し、前もって計画を立て、モデルが答えを導き出すのを助ける一連の処理を実行することで、正確性と迅速性を向上させる。試用版が9月に市場投入されたオーワンは現在、「より速く、より強力で、より正確に推論できる」正式新版が提供されている。

同社のほかの有料サービス利用者ならオーワンにアクセスできるが、チャットGPTプロの利用者だけが使えるオーワン・プロ・モードという機能もある。オーワン・プロ・モードは、データ科学や大規模プログラミング、判例分析といった高度の専門的「推論」に対応する。ただ、モデルが回答を出すまでの「推論」時間は長くなる。内容によっては数時間から数日、あるいは数週間の推論時間を要する場合もあり得る。

▽一部の医学研究者らに無償提供

オープンAI製品群のなかでもっとも高額のチャットGPTプロには、GPTフォーオー(Generative Pre-trained Transformer-4o)への無制限アクセスや、人間のような会話機能であるアドヴァンスド・ヴォイス・モードも含まれる。

同社はまた、チャットGPTプロを一部の利用者に限定的に無償提供する。その対象は、「一流の研究機関」の医学研究者たちで、その枠は10件だ。

チャットGPTプロの無償提供は、将来的には「さまざまの分野」に拡大される見通しだ。

▽赤字縮小圧力に対応か

チャットGPTの複数の有料版の料金については、値上げが実施されるという観測がしばらく前から飛び交っている。月額20ドルのチャットGPTプラスの場合、2029年までに44ドルに値上げされると予想される。その背景には、同社に対する赤字縮小圧力がある。

オープンAIの損失は2024年に約50億ドルに達すると見込まれる。人件費や人工知能モデル訓練基幹設備、チャットボット運用基幹設備、事務所賃料といった固定費が莫大だ。チャットGPTを稼働させるだけで一日あたり70万ドルのコストがかかっている、と言われる。生成人工知能の運用には大量の人工知能チップが必要であり、それらのチップは非常に高額であるだけでなく大量の電力を消費する。
 
(Gaean International Strategies, llc社提供)

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