ドナルド・トランプ前大統領の再選は、その選挙運動に1億ドル以上を寄付したイーロン・マスク氏にとって大きな勝利だ。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、マスク氏は、連邦政府の無駄の削減や業務の効率化を働きかけており、公的支出の監視にかかわる方面で次期政権において大きな発言力を持つ可能性が高い。
マスク氏は、テスラ(Tesla)やスペイスエックス(SpaceX)、エックス(X)を含む6社を経営している。それら6社の投資家たちが保有する資産総額は1兆ドルを上回る。それらの事業の多くの側面が行政の決定に左右されることから、かつてない規模の利益相反が生じる可能性がある。連邦政府は、公的な宇宙開発事業で使うロケットの選定から、スペイスエックスが打ち上げる低軌道衛星の認可、テスラが目指す無人運転車の認可まで、マスク氏の事業にさまざまの側面で関係する。
スペイスエックスは過去10年間に150億ドル以上の契約を連邦政府から受注してきた。宇宙航空局(NASA)が国際宇宙基地に宇宙飛行士を送る際や国防総省が人工衛星を打ち上げる際に、スペイスエックスのロケットが使われている。マスク氏はまた、連邦政府のトップレベルの機密情報にアクセスできる権限も認められている。
マスク氏とその会社らは、これまでに何度となく政府機関の調査を受けてきた。エックスのユーザー・データの保護からテスラ車の安全性、さらには選挙にからんだ政治行動委員会との関係までさまざまの分野で連邦取引委員会(FTC)や証券取引委員会(SEC)、司法省らが同氏の会社らを調査してきた。
さらに、スペイスエックス傘下のスターリンク(Starlink)は、既存の無線通信網が届かない地域や、戦争や軍事紛争によって無線信号中継塔が破壊された地域にインターネット高速無線接続をもたらすことから、国際政治に巻き込まれる場合もある。実際、ロシアから侵攻されたウクライナやイスラエルによる報復で被害を受けたガザ地区ではマスク氏が立ち回る場面が何度となく生じた。
トランプ氏とマスク氏は、人種の多様性や性別関連、移民を含むいくつもの政策論争点において共通の見方を有していることを選挙戦の最中に公表してきた。選挙戦の終盤には、マスク氏がトランプ氏の集会に参加することもあった。
マスク氏は、ロシアや中国、インド、サウジアラビア、カタールといった国々の国家元首や政府高官、また有力な投資家にも広く人脈を築いている。プーチン大統領と秘密裏に会話したことも報じられている。それらがトランプ次期政権の外交政策に影響する可能性もある。
投票日翌日の6日には米株式市場全体が3.6%前後の上昇を記録し、テスラ株は一時15%前後(午後3時頃の状況)も急騰して過去52週間の最高値をつけた。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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