インスタグラムやTikTok(ティックトック)などのソーシャルメディアは通常、購入した物を見せようとする人々であふれているが、2025年は何も買わない暮らしを発信する人が増えている。
◇2割が「no buy」に挑戦
ウォールストリート・ジャーナルによると、今年の「ノーバイ(no buy=買わない)」トレンドは、人々にできるだけ新しい物を買わないことを推奨しており、人によっては特定の買わない物リストを作ったり、不要な物は買わないと宣言したりしている。
ソーシャルメディアでトレンドになった背景には、2年にわたる物価高や個人負債の増加といった理由がある。また、24年は年末商戦期が短く慌ただしかったため、低所得層の多くが積極的に支出を切り詰めたという状況もある。この結果、最新の素晴らしい流行り物を買うのではなく、すでに持っている物に目を向ける人が増えている。
1万ドルのクレジットカード負債やゆとりのない生活からの脱却を望んでいたインディアナ州の看護師女性(28)は、クリスマス時期にノーバイ関連動画と出会い、ヘアトリートメントやマニキュア、新しいウォーターボトルなど不要な購入をやめた。買わないことによる支出削減と中古品売買アプリで服を売るといった努力により、わずか1カ月で2000ドルの負債を返済したという。
ノーバイのような考え方はTikTokで以前から広がっており、24年は米消費者の20%が買わない運動を試みている(フィンテック企業チャイム調べ)。グーグルでは「no buy challenge」の検索が前年比で40%増、「no spend challenge」は過去最高を記録した。
◇ある物を使い切る
また、ノーバイに似たトレンドの「project pan(化粧品の使い切り)」を実行する人も増えている。これは、スキンケア、メイク、ボディーケア製品の新品を買う前に今ある物を全部使い切ることを指し、ノーバイと組み合わせる人もいる。
ニューヨークの美容業界で働く女性(35)は、仕事で特定の服装をしなければならないという義務感からクレジットカード負債とローン残高が約4万9000ドルもあったが、昨年は借金返済を決意。まず何年にもわたって買ったりもらったりしてたまっていた化粧品100個近くを使い切った。
次はスキンケア製品も使い切る予定で、服や美容品、香水、宝飾品、室内装飾、本もノーバイ・リストに含めている。また、食品の持ち帰り注文を減らし、ピラティスのクラスには必ず出席してキャンセル料が発生しないようにしている。これを始めて以来、すでに3万5000ドルを返済し、4月までに借金を完済する予定だという。
一方、ニュージャージー州在住の金融アナリスト女性(25)は、数年前から「ローバイ(low buys=購入を控える)」を実行している。パソコン画面で欲しい物を見つけるとそのスクリーンショットを撮ってフォルダーに入れ、月末時点で頭に残っていなかったら削除し、残った物のうちどれかを四半期ごとに買うことにしている。この方法は「本当にそれが欲しいのか、必要なのかを考える時間を与えてくれる」という。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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