暗号決済技術新興大手のムーンペイ(MoonPay、マイアミ拠点)は、API(application programming interface)優先の価格安定型暗号通貨(stablecoin)基幹設備新興企業のアイアン(Iron)の買収によって、企業向け暗号決済市場への進出を一段と拡大している。
CNBCによると、ムーンペイは、この2ヵ月間に2社(アイアンを含む)を買収しており、急成長する価格安定型暗号通貨決済市場を支配する野心を打ち出している。
「だれもがデジタル通貨財布を持つようになるとわれわれは考えている」とムーンペイの共同設立者アイヴァン・ソト=ライトCEOは3月13日、取材に話した。
価格安定型暗号通貨は、法定通貨や金といった資産価値と連動し、価格の安定性を重視した暗号資産を指す。暗号通貨は、従来の決済よりはるかに低コストかつ瞬時での処理を可能にする。しかも、越境決済でも同様の利点をもたらす。
価格安定型暗号通貨による決済を受け入れる対応力を会社らに提供する同社は、デビット・カードや銀行口座、ペイパル、ヴェンモ、アップル・ペイ、グーグル・ペイを含む決済手段のほとんどを通じて新規利用者らの登録や利用開始過程を簡便化し、暗号経済への参加障壁を取り除いている。
価格安定型暗号通貨によって送金された額は2024年に27兆ドルという巨額に達し、その大半は、ブロックチェーン網を継ぎ目なしで転送されるデジタル・ドルで占められた。
ソト=ライト氏は、暗号決済の衝撃を電気通信によって起きた変革になぞらえた。「インターネットが浸透する以前には、長距離電話をかけるのはとても高価だったが、スカイプらが登場し、インターネット基盤の電話が一気に拡散し、長距離電話コストが劇的に下がった」と同氏は話す。価格安定型暗号通貨はそれと似たような衝撃を企業間決済にもたらす、と同氏は語った。
伝統的な銀行から新興のフィンテック会社(デジタル金融ソリューション会社)まで金融サービス業界のあらゆる会社らが価格安定型暗号通貨を使い始めている。スタンダード・チャータードは最近の調査報告書のなかで、外国為替取り引きに占める価格安定型暗号通貨の割り合いが現在の1%から約10%に成長すると予想する。
180ヵ国に3000万以上の顧客を持つムーンペイは、2021年に実施した資金調達では34億ドルという企業評価額がつけられた。同社のキャッシュ・フローは黒字で利益も出ており、2024年の純収入は前年比112%増だった。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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