膵臓がんの早期発見、人工知能の活用で劇的に前進 〜 メイヨー・クリニックの教授ら、精度92%の人工知能モデル群を構築

米国の総合病院および医学研究機関の最高峰の一つと位置づけられるメイヨー・クリニック(Mayo Clinic、ミネソタ州ローチェスター拠点)は、早期発見がきわめてむずかしい膵臓がんを人工知能モデル群によってより早くかつ正確に発見できる可能性を示す研究&開発成果を先日公開した。

メイヨー・クリニックのプレス・リリースによると、メイヨー・クリニック総合がんセンター放射線科医兼教授のアジット・ゴエンカ博士と、MDアンダーソンがんセンター内科消化器・肝臓・栄養科教授のスレーシュ・チャリ博士は、メイヨー・クリニックのポッドキャスト番組「あすの治療(Tomorrow’s Cure)」のなかで、「非常に小さながん細胞は、画像診断で発見することがきわめて困難だ」「特に膵臓がんの場合、罹患部分が膵臓のほかの部分とまったく同じに見えることが早期発見をさらにむずかしくしてしている」と指摘した。

両教授はそこで、がんを初期段階で識別できる人工知能モデル群を構築した。非常に有望視されるそれらのモデル群は、外科処置によって対応できる段階での膵臓がんを特定すべく、人工知能モデル群とCTスキャンを組み合わせた技術によって膵臓がんを識別する。

「膵臓がんに関しては、早期発見が最大の希望である同時に、それが最大の課題でもある」とゴエンカ博士は話した。かたやチャリ博士は、「われわれが直面している課題は、膵臓がんの診断時には患者の半数でがんがステージ4まで進行していることだ」「われわれのねらいは、診断時点でのステージ4の患者を減らすことだ」と話した。

チャリ博士によると、膵臓がんのうち、診断時(発見時)にがんが膵臓にとどまっているのはわずか7%で、ほとんどの膵臓がんはその時点において他臓器にすでに転移している。チャリ博士らは、がんが発見時点において膵臓にとどまっている割り合いをその3倍に増やしたい考えだ。そのためには、これまでの発見より4ヵ月前に特定できるようにすることが重要だという答えを導き出した。

すべての膵臓がんを臨床によってこれまでより4ヵ月早く診断できれば、ステージ4前に治療開始できる可能性が劇的に高まる、とチャリ博士は話した。

両教授によると、メイヨー・クリニックの人工知能モデル群は膨大な量の膵臓がん画像データで訓練された結果、臨床診断の475日前に膵臓がんをCTスキャンによって92%の精度で特定できるという成果を示した。膵臓がんの発見にとってそれは革命的といえる。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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