毎日出社義務化が人材流出の原因に 〜 経営陣の思惑と従業員の希望がすれ違い

新型コロナウイルス・パンデミック収束後も継続している遠隔労働やハイブリッド労働(出社と在宅の混合)から毎日出社に戻そうとする経営陣の動きは、働き方に関するもっとも活発な議論の一つになっている。ベンチャービート誌によると、そういった動きはそれと同時に、会社らにとっては人材流出の原因にもなっている。

▽出社再開見通しの高まり

調査会社ガートナーが2024年に実施した調査では、人材資源管理責任者の63%が、従業員らの出社再開に関する見通しが高まっていると回答した。そういった動きは、パンデミック中に恒久的遠隔労働を従業員らに約束した会社にも言える傾向だ。

ガートナーのデータによると、多くの会社が遠隔労働に起因する規則遵守の問題に直面していることから、最近では毎日出社義務化によってその問題を解消しようとねら経営陣が増えている。

ここ数ヵ月では、アマゾンやJPモルガン、AT&Tの3社が、週5日の完全出社に戻したい意向を示し、注目された。

▽トランプ大統領、希望退職募集で在宅勤務者解雇をねらう

さらに、最近では、ドナルド・トランプ大統領がイーロン・マスク氏の率いる政府効率化省(Department of Government Efficiency=DOGE、ドージ)を通じて連邦政府を縮小する計画を発表したばかりだ。トランプ大統領は、200万人の職員を減らすために希望退職の募集を開始した。

「職場に来ない非常に多くの従業員がいなくなることで、政府がより小さくなり、より効率的になるとわれわれは考えている」とトランプ大統領は話しており、希望退職者募集によって在宅勤務者を減らすねらいがあることを示した。

▽出社義務化で女性とベテランが辞める傾向に

多くの会社でも、何割りかの従業員は週5日での出社再開を望まず、退職を選ぶだろうと想定している。実質的解雇をやさしい方法で実施するという人員整理作戦といえる。ただ、毎日出社の義務化は、経営陣の意図しない副作用も引き起こしている。辞めてほしくない従業員の一部が退職を選ぶという人材流出が起きているためだ。

S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスが発表した最新の調査報告では、リンクトインを通して300万人以上の技術系および金融系従業員の職歴を追跡したところ、RTO(Return-to-Office)義務化が離職率急上昇の原因になっていることが裏づけられた。

「RTO義務化による離職率の上昇は、女性従業員と、より年長の従業員、より熟練した従業員ほど顕著だ」とS&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスは指摘する。

同社によると、RTO義務化によって従業員を失った会社らは、欠員を補充するのにいちじるしく長い期間を要するという。「RTO義務化後に女性従業員や熟練人材を失い、人材確保がより困難になっている」と同社は指摘する。

▽高給職ほど遠隔労働を希望する

年俸10万ドル以上の職に特化した求職&求人サイトのラダース(Ladders)の調べでも、高技能職および高賃金の従業員の一部が遠隔労働機会を求めて退職している実態が裏づけられている。

同社によると、2024年第3四半期には、年俸25万ドル以上の求人のうち10.4%が遠隔労働として募集された。その数字は、2024年第2四半期の8.8%からの増加だ。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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