テスラの投資家、愛好家、批評家らは、テスラが本当にテキサス州オースティンで6月中に完全自動運転ロボタクシー(自動運転タクシー)の運行を始められるのか注目している。
◇事業変革の第一歩
オートモーティブ・ニュースによると、テスラにとってこれは大きな賭けだ。同社は最近、自動車販売が不振で、イーロン・マスクCEOは「テスラはもはや自動車メーカーではなく、ロボティクスと人工知能(AI)の会社だ」と明言し、テスラをロボタクシーと人型ロボットを主軸とする収益性の高い事業に変革しようとしている。
オースティンでの自動運転配車サービス開始はその第一歩であり、実現すれば先行するアルファベット傘下ウェイモと直接競合することになるが、SNS上ではテスラのファンや投資家らが「自動車製造能力を持つテスラはウェイモよりも迅速な拡大が可能」と期待している。
マスク氏は5月下旬、「6月に10~20台の車両を使ってロボタクシーサービスを開始する」と改めて表明したものの、正確な開始日は明言していない。ロボタクシーに安全のためのドライバーは乗らず、安全対策として遠隔操作のオペレーターが配置され、運行区域はオースティン市内でも特に安全性の高い地域に限られる。
◇問題は未解決のまま?
マスク氏は5月28日、X(旧ツイッター)で「ここ数日間、オースティンの公道で自動運転のモデルY(運転席は無人)をテストしており、事故は一切発生していない」とつぶやき、進行状況は「予定より1カ月早い」と説明した。しかし、テスラの自動運転計画に懐疑的な人々は、マスク氏が過去10年間さまざまな約束をしては破ってきたことを指摘する。2019年には「20年までに自社車両で100万台のロボタクシーを走らせる」と公言したが実現しておらず、自動運転による米国横断もできていない。
また、かつて運輸省道路交通安全局(NHTSA)の安全顧問を務めたジョージ・メイソン大学のミッシー・カミングス教授によると、テスラは以前から自動運転車(AV)発売の障害となっていた技術的問題をまだ解決しておらず、ライダー(光検知・測距装置)を使わずに認識機能をカメラだけに頼るテスラの手法はウェイモなどと比べて堅牢ではない。同氏は「6月に行うという実演走行では、A地点からB地点まで数回は問題なく移動できるだろうが、テスラのロボタクシーは低速で走行し、遠隔操作のオペレーターに大きく依存する可能性が高い」と見ている。
カミングス氏はまた、運転支援システム「フルセルフドライビング(FSD)」の最新版を搭載したテスラ車の投稿動画では、車の重大な判断ミスが数多く見られると指摘。「カメラだけに頼る車の問題をテスラはまだ解決していない」と批判している。
テスラは、オースティンでロボタクシーサービスが一定の成果を出せば、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンアントニオなどへの事業拡大を目指しており、その後は各国の規制に応じて海外展開も計画している。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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