ウェイモの料金、運転手不要でもウーバーやリフトより割り高 〜10ドル高くてもロボタクシーを呼ぶ消費者

テッククランチ誌によると、ロボタクシー・サービス事業の大前提は、高い利用率と低い人件費によって最終的には安価な移動手段になるというものだが、現段階では、その大前提にはほど遠いという実態が判明した。本稿ではその実態について前編と後編に分けて解説する。

▽オービー、1ヵ月分のデータをもとに料金を比較

複数のモバイル配車サービスに関するリアルタイムの価格とサービス提供時間を集約するアプリケーション「オービー(Obi)」は、「ウェイモ(Waymo)の価格戦略に関する初の詳細な検証」を発表し、ウェイモのロボタクシー利用料金がウーバー(Uber)やリフト(Lyft)より割り高であることを示した。

同調査は、サンフランシスコで3月25日から4月25日に収集された1ヵ月分のデータにもとづいている。オービーは、価格とETA(Estimated Time of Arrival=到着予定時刻)を比較するために、ウェイモとリフトの「標準」サービス、そしてウーバーの「ウーバーエックス」サービスから約9万件の「オファー記録」を取り出した。そして、同じ時間帯と移動経路からの乗車依頼を比較した。

▽リフトがもっとも安く、ウェイモが一番高い

その結果、リフトの平均価格は14.44ドルともっとも安く、次いでウーバーの15.58ドル、そしてウェイモの平均価格が20.43ドルでもっとも高額だった。また、ピーク時には、ウェイモの平均価格はリフトよりも約11ドル高く、ウーバーよりも約9.5ドル高いことがわかった。

ウェイモは、最初の4都市(フェニックス、サンフランシスコ、ロサンジェルス、オースティン)で1週間あたり計25万回の有料サービスを提供したと5月に発表した。したがって、ウェイモのロボタクシーは、ウーバーやリフトより高くても利用者を引きつけているといえる。先行者優位性(慣れ親しんだ顧客数が多い)の効果がまだきいている可能性は高い。

ウェイモとウーバー、リフトの1kmあたり料金
リフト ウーバー  ウェイモ平均料金
$14.44 $15.58  $20.43中央値
$14.22 $15.36  $19.52
1kmあたりの平均料金
$7.77  $8.36   $11.22

ただ、ウェイモとウーバーは6月24日、ウーバーの利用客にウェイモのロボタクシーを配車するという新サービスをアトランタで提供開始したことから、料金比較はやや複雑になった。

▽「消費者の嗜好」を反映か

ウェイモのロボタクシー・サービスには運転手の人件費がかかっていない。にもかかわらず、ウェイモの設定価格はリフトやウーバーより高い。初期における技術開発や継続的技術改善、規制対応、販促といったさまざまの費用がかかっていることは簡単に想像できるが、現段階では、運転手の人件費が発生しないことを乗車料金に反映できるほど料金が下がらないという実情が浮き彫りになった。

アッシュウィニー・エンブラージャン最高売上責任者はそれについて、「消費者が10ドルも高く払うとは思わなかった」「先進技術への興味や興奮、運転手なしで車に乗りたいという消費者の嗜好を物語っているのではないか」と話している。(後編に続く)

▽ウェイモ、料金設定に大きな変動性

エンブラージャン氏によると、オービーの調査では、ウェイモは料金が高いが、料金設定に大きな変動性があることもわかった。ウェイモの価格設定モデルが洗練されていないことが一因だ、と同氏は指摘した。

ウーバーやリフトは、乗車料金の設定方法を10年以上かけて洗練してきた。また、それらのプラットフォームは運転手たちが自分の好きな時間に稼働することから流動的だ。

ウェイモの車両供給量はほぼ固定されている(厳密には、ゆっくりと増加している)。したがって、ウェイモの料金は「純粋な需要と供給」にもとづいた設定だという見方を同氏は示した。

▽料金差、乗車時間が長くなるにつれて縮まる

同氏によると、短距離の方が長距離よりも料金が高くなる傾向がある。移動サービス業界ではそれが一般的だ。ウェイモの乗車料金は、1.4km未満であれば1kmあたり約26ドルだ。リフトとウーバーの約19ドルとくらべると非常に高い。

同じ傾向は、ウーバーとリフトにもいえるが、オービーの調べによると、ウェイモの最短乗車距離(時間)料金は、ウーバーやリフトよりもそれぞれ41.48%、31.12%高く設定されている。その差は、乗車時間が長くなるにつれて縮まる。4.3kmから9.3kmの乗車では、リフトは1kmあたり2.60ドル、ウーバーは2.90ドル、ウェイモは3.50ドルだった。

距離別の1kmあたりの平均料金
     リフト ウーバー ウェイモ
0.1-1.4km $18.9  $19.3  $26.5
1.4-2.2km $8.0   $8.6    $11.6
2.2-2.9km $5.6   $6.1   $8.2
2.9-4.3km $4.1   $4.5   $5.7
4.3-9.3km $2.6   $2.9   $3.5

もう一つの影響要因は、客が見つかってから乗せるまでの時間が長いと乗車料金が上昇するということだ。つまり、客を迎えに行く距離が長いと料金が上がる。サービス提供側にとってそれは、利益率の高い短距離の乗車回数が減ることを意味する。

▽利用客らは運転手不在を好む傾向に

オービーによると、ウェイモに乗車したことがある利用者の70%は、他社のモバイル配車サービスよりもウェイモの無人サービスを好むと回答している。ただ、調査対象利用者の74%は、ロボタクシーに関する最大の懸念として安全性を挙げ、回答者の70%近くは、何らかのかたちで遠隔地から人間がロボタクシーの動作を監視すべきだと答えている。実際には、遠隔監視はすでに実行されている。

もっと高い料金を払ってもウェイモを使うかという質問に対しては、40%近くは「同じかそれ以下なら使う」と答え、16.3%は「1回の乗車につき5ドル以上払う」と答え、10.1%は「1回の乗車につき最高5ドルまでなら多く払う」と答え、16.3%は「1回の乗車につき最大10ドル多く払う」と答えた。

エンブラージャン氏は、利用者らのそういった反応について、ウェイモのロボタクシーが割り高料金を正当化できる乗り心地を提供していることを示唆するものであり、それが運転手不在による可能性もあると述べた。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
STS Career

注目の記事

  1. 植民地から合衆国建国へ 18世紀半ば、現在のアメリカ東海岸にはイギリスの支配下にある...
  2. 2025年12月1日

    就職&雇用ガイド2025
    監修 STS Career https://usfl.com/author/stscar...
  3. 2025年10月8日

    美しく生きる
    菊の花 ノートルダム清心学園元理事長である渡辺和子さんの言葉に、「どんな場所でも、美しく生...
  4. 2025年10月6日

    Japanese Sake
    日本の「伝統的酒造り」とは 2024年12月、ユネスコ政府間委員会第19回会合で、日...
  5. アメリカの医療・保険制度 アメリカの医療・保険制度は日本と大きく異なり、制度...
  6. 2025年6月4日

    ユーチューバー
    飛行機から見下ろしたテムズ川 誰でもギルティプレジャーがあるだろう。何か難しいこと、面倒なこ...
  7.        ジャズとグルメの町 ニューオーリンズ ルイジアナ州 ...
  8. 環境編 子どもが生きいきと暮らす海外生活のために 両親の海外駐在に伴って日本...
ページ上部へ戻る