商用EV市場は堅調に成長~前年比で274%の急増

消費者向け電気自動車(EV)の販売が伸び悩む一方で、商用EVは堅調に成長を続けていることがS&Pグローバル・モビリティーのデータで判明した。

◇コスト削減効果が魅力

オートモーティブ・ニュースによると、配送用バン、多目的トラック、大型トラックを含む商用EV(クラス3~8)の登録台数は、2024年5月31日までの12カ月間で2万4871台に達し、前年同期比274%の増加を記録した。主に業務用に使われるクラス2(小型ピックアップトラックなど)のEVの登録台数は69%増の41万7246台となった。これに対し、個人向けの軽量EVは2%減の69万4678台だった。

商用EVの成長を後押ししているのは、ミネソタ州に本社を置くエコラブ(Ecolab)のような企業だ。感染症予防、飲料水、衛生用品を販売する同社は、現在1万1000台の車両を保有し、うち1000台がEVで、2030年までに北米の全車両の電動化を目指している。

低公害車の普及を目的とするカリフォルニア州の非営利団体Calstart(カルスタート)によると、電動化を進める企業の多くは、EVのコスト優位性を評価しているという。現在2万5000台を超えるEV(全てリビアン製の配送用バン)を保有するアマゾンでも、ルートの最適化などでEVがコスト削減に貢献している。

各車両が決まったルートを運行し、夜間は操車場に戻って充電するようなフリート(車両群)を持つ企業ほど、EVを業務に統合しやすい。EVは内燃エンジン車よりメンテナンスの頻度が少なく、燃料代(電気料金)もガソリンより安いことが多く、電力会社と固定価格契約を結んでいる場合はガソリンよりもコストが安定しやすい。

◇残る課題

一方、一部のフリート事業者は今も電動化をためらっている。その大きな理由としては、高額な初期費用、インフラ不足、政策の不確実性などが挙げられる。規制措置や購入優遇制度は、これまで多くのフリートが高額な電動化コストを乗り越える助けとなってきたが、現行のトランプ政権はEV販売を支えてきた規制や環境政策の多くを覆している。

インフラ面の課題も大きい。対応には資金だけでなく時間もかかり、必要な地域インフラの整備には最大2年かかる可能性もある。このためフリート事業者が自前でインフラ整備を行わなければならない場合もあり、アマゾンは180カ所を超える国内拠点に3万2000基以上の充電器を設置し、独自の人工知能(AI)によるルート最適化などで充電効率を高めている。

また、自動車販売店側の知識不足も導入の障壁となっており、企業が車両の電動化を望んでもそれを支援するディーラーがいないこともある。このため今後の成長には、フリート所有者だけでなく販売業者や政治家の教育も必要になる。

こうした課題を考えると、今後数年間は飛躍的成長は見込めない可能性があるが、すでに多くの電動化プロジェクト、特に電池関連の国内サプライチェーン(供給網)構築を支援するプロジェクトは進行中だ。電池の調達が改善されればEV価格も低下するため、27年ごろが成長の節目になる可能性があると、カルスタートの担当者は話す。複数の州政府も引き続き電動化を支援する方針を示しており、商用EV市場は今後も成長が続くと見込まれる。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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