男性の経済力低下は母子家庭が原因?
- 2013年3月28日
- 米国ビジネス
国内では女性の収入が増える一方、男性の収入は減少する傾向にあるが、その原因は母子家庭で育った子供が増えているからだという見方がある。
ニューヨーク・タイムズによると、この理論を提唱するのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のデイビッド・オーター教授(経済学)。米国では両親がそろった家庭で育つ子供の割合が1970年の82%から2010年には63%まで低下しており、それ以外の子供の大半は母親に育てられているが、オーター氏は男女の違いの一部は育ち方に原因があるとみており、「母子家庭で育った男性は特に暮らし向きが劣る傾向にあるようだ」と指摘する。
氏の理論によると、男性の経済力低下は、伝統的家族制度崩壊の結果であると同時に原因にもなっている。社会的に成功していない男性は同伴者として魅力がないため、女性は自分だけで子供を育てようとし、その結果、成功できずパートナーとしても魅力のない男性が育つというわけだ。
男性の収入低下は、エコノミストも理由を特定できない重要な傾向の1つ。全体ではまだ男性の方が収入が多いが、近年男女の収入格差は大幅に縮まっており、特に若い世代でその傾向が強い。米国では、海外との競合、テクノロジーの発達、労働組合の弱体化などを受け、男女を問わず大卒でなければ生計を維持することが難しくなっており、女性は学歴を高めて所得を増やしているにもかかわらず、なぜか男性はそうなっていない。10年に35歳だった年齢層では、女性の大卒率が男性より17%も高く、学士号取得率も23%高かった。
オーター教授の理論は、低所得の親を持つ子は自身も低所得の親になる確率が高い、低所得層の子供は母親に育てられる割合が高まっているといった既存の調査結果に基づいている。ほかにも、母子家庭の母親は娘と過ごす時間より息子と過ごす時間が週1時間短い、父親の学歴が低いまたは父親のいない家庭では男子より女子の方が大学を卒業する可能性が10〜14%も高い、母子家庭では女子より男子の方が大学進学率が低いといった調査結果がある。
教授は「片親に育てられた子供の学歴が低いことは明確。男女の違いはそこまで明確ではないが、重要な仮説としてこの理論を提示した。もっと説明が必要だが、その方向性を示す興味深い証拠はある」と話している。
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