鉄道各社、19世紀以来の好況〜貨物輸送の設備投資増やす
- 2013年3月28日
- 米国ビジネス
北米の鉄道貨物業界が、大陸横断鉄道開通や資本主義発展に伴う19世紀後半の好況を思わせるブームに沸いており、各社とも設備投資に巨額を投じている。
■3年連続で過去最高を支出
ウォールストリート・ジャーナルによると、鉄道はスピードや効率の向上によって流通市場での地位を高めながら、今回の経済回復で重要な役割を果たしている。現在の事業拡張は、地理的というよりも既存の路線の効率を高め、貨物の今以上の多種・大量輸送を可能にするのが目的。具体的には、大型ターミナルの新設や線路の複線化、コンテナを重ねて積んでも通れるトンネルや橋の整備などが進められている。2013年の業界の設備投資は10年前の2倍以上の140億ドルと推定され、各社とも、40年までに50%(275億ドル)の拡大が見込まれる国内の貨物輸送需要をできるだけ取り込もうとしている。
■トラックのシェア奪う
トラック業界は、燃料の高騰や道路の混雑、ドライバー不足、法規制によるコスト高などで打撃を受けている。一方、鉄道輸送は安上がりで、米鉄道協会によると国内の貨物料金は30年前のほぼ半額となっており、鉄道はトラックなど他の輸送機関のシェアを奪っている。この結果、北米で操業する工場の生産コストが下がっており、メキシコにおける外国からの直接投資、自動車生産が大幅に増えている。
マサチューセッツ工科大学のヨッシ・シェフィ教授(エンジニアリング・システム学)は「鉄道がなければ、これほど多くのメーカーが米国やその近辺への回帰を検討することはなかった。理由の一部はエネルギーの安さだが、鉄道がなければ石油を国内各地に運べず、大量の輸入品を移動させることもできなかった」と指摘する。
■設備や輸送力を拡充
鉄道大手バーリントン・ノーザン・サンタ・フェ(BNSF)は、機関車、貨車、カンザスシティの大型ターミナル、新しい線路、ノースダコタからモンタナに広がるバッケン・シェールの石油関連事業向けの機材などに41億ドルを投資している。同業ユニオン・パシフィックも、ニューメキシコのターミナルに36億ドルを投じているほか、アイオワ州クリントンで総工費4億〜5億ドルの橋りょう建設を予定している。
CSXは、中西部から大西洋岸中部までの路線でダブルデッカー(2階建て)のコンテナ車を使えるよう、高速道路の橋りょう・トンネル拡大工事に23億ドルを投じている。
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