IBM、メインフレームの新製品を市場投入 〜前機種から25%値下げ
- 2013年7月25日
- ハイテク情報
IBMは、最新の大型汎用コンピュータ(メインフレーム)「ZエンタープライズBC12(zEnterprise BC12)」を正式に市場投入した。
ニューヨーク・タイムズによると、メインフレームは発売から49年が経つものの、技術的には極端に変化したわけではなく、最大の変化はその価格にある。
ZエンタープライズBC12の価格は7万5000ドルで、現行機種から約25%値下げされた。IBMが10年前に市場投入したメインフレーム「Z990」または「Tレックス(T-Rex)」の価格は100万ドルからであり、メインフレーム価格はその後も大幅に上昇していた。
それを考えれば、新型メインフレームの7万5000ドルという価格がいかに安いかよく分かる。
値下げの理由として、「ムーアの法則」による電算価格の下落を指摘する見方もあるが、実際にはサーバーとの競争激化がその背景にある。
過去10年間、仮想化およびクラウド・ソフトウェアを実装した低価格サーバーがメインフレームの競争相手として浮上したため、IBMは、大幅値下げによってそれらに対抗することを強いられた。
IBMによると、新製品は低価格ながら従来のメインフレームのセキュリティと信頼性を兼ね備え、サーバー基盤のクラウド電算モデルに対抗できる。
IBMのパトリック・トゥール製品担当統括責任者は、「(BC12一台に)サーバー520台分に等しい処理能力を持たせることができる」「メインフレームは、電算能力を機械1台に統合できる点で顧客から根強い需要がある」と述べた。
同氏はまた、BC12の標的市場として、大規模データ解析や小売り販売戦略のモデリングを行う銀行や通信企業を挙げた。さらなる注力市場としては、サーバー基盤クラウドがまだ普及していない新興市場が想定される。2010年に市場投入されたZエンタープライズは、納品済み製品の約40%が中国や南アフリカ、中東諸国向けだ。
調査会社ガートナーのアナリストは、メインフレームをいったん導入した企業には、維持管理サービスやソフトウェア、コンサルティング・サービスも販売できるため、メインフレームはハードウェア・メーカーにとって引き続き有望な利益源になっていると指摘する。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
米技術大手ら、メキシコでの製造拡大に注力 〜 台湾の技術製品メーカーらに熱心に働きかけ
-
2024年5月16日 アメリカ発ニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
米国内都市圏の住宅所有者らは自然災害に要注意〜異常気象による損害危険の高い地域が明確に
-
2024年5月16日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ドライバーの過半数が「AVは怖い」~AAA調査
-
2024年5月13日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EVへの関心、ますます低下~消費者、メーカーの思惑に反し
-
インフルエンサーとブランドをつなぐプラットフォームで台頭 〜 ショップマイ、1850万ドルを調達
-
シンケイ・システムス、魚の活け締め技法を機械化 〜 完成に接近、鮮魚流通網に革新をもたらす可能性
-
ドキュサイン、インテリジェント契約管理サービスを発表 〜 電子署名ソリューション以外に事業を拡大
-
2024年4月29日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
米商務省、TSMCのアリゾナ工場への投資を提案 〜 米中緊張悪化を背景にチップの国産化に重点
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至
-
2024年4月25日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
広告嫌いのテスラが一転、積極展開