AWS、顧客多様化で勢力拡大 〜大企業や大規模データ解析企業と契約

 アマゾン傘下のクラウド電算サービス事業「アマゾン・ウェブ・サービシズ(AWS=Amazon Web Services)」は、業界大手の地位をさらに強化している。

 データ・センター・ノーレッジ誌によると、アマゾンはクラウド事業の売上高を公表していないが、直近の四半期決算においてAWS売上高を含む「その他」の売上高を前年同期比64%増の8億4400万ドルと報告しており、増収分のほとんどはAWSによると考えられる。

 AWSは、ソフトウェア開発者や新興企業向けのアプリケーション開発需要に対応して売り上げを伸ばしてきたが、最近では大手企業による導入事例を発表しており、顧客企業の多様化に取り組んでいる。

 急成長中の医療サービス管理会社で業界3位のシューマッハー・グループ(Schumacher Group)は、AWSのウェブ・サービス「アマゾン・エラスティック・コンピュート・クラウド(EC2=Amazon Elastic Compute Cloud)」と、オンライン・ストレージの「アマゾン・シンプル・ストレージ・サービス(アマゾンS3=Amazon Simple Storage Service)」を採用した。

 200超の病院と約400万人の患者情報を扱うシューマッハーはAWS採用の理由を、オバマ大統領が進める医療サービス管理業務改革の要件を満たすために、敏捷性が必要になってきたためと説明している。

 同社は、管理業務ソリューションを独自に構築した場合に機器の購入と人材に8万ドルがかかるところを、AWSの利用によってわずか4000〜5000ドルに抑えることができたと話す。

 一方、ゲノム解析を手掛けるゲノム医学研究所(GMI=Genome Medicine Institute) は、大規模データ(Big Data)解析の効率化を目的にAWS導入に踏み切った。その結果、GMIは電算時間を半分以下に短縮し、ヒトゲノム情報解析能力の倍増に成功した。

 調査会社フォレスターは先日、数ある大企業向けクラウド・サービス選択肢のなかでAWSを首位に格付けしており、ウィンドウズ・アジュール(Windows Azure)とグーグル(Google)のサービスが僅差でその後に続いた。

 フォレスターの同報告は、過去12ヵ月のクラウド環境向け用途の上位3種類として、アプリケーション統合、モバイル、内部ウェブ・アプリケーションを挙げている。

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