アカマイ、セキュリティ事業が大幅成長 〜CDNサービス価格低下を補完

 コンテント配信網CDN(content delivery networkまたはcontent distribution network)サービス最大手のアカマイ・テクノロジーズ(Akamai Technologies)は、通信網向けセキュリティ製品の売上高が2012年の約2000万ドルから2013年に3000万〜4000万ドルに増大する見通しを明らかにした。

 投資銀行パイパー・ジャフレイ(Piper Jaffray)が報告した。セキュリティ需要の強まりを反映した動向と言える。

 インベスターズ・ビジネス・デイリーによると、2013年におけるアカマイのセキュリティ関連売上高は同社売上高全体の2〜3%にとどまる見通しだが、パイパー・ジャフレイはセキュリティ顧客数の大幅増加に注目している。

 アカマイは6月末時点におけるセキュリティ事業の顧客数を、直前四半期から30%増の650と発表。全事業の顧客数は約4500だった。

 マッコーリー・キャピタル(Macquarie Capital)のアナリストはアカマイのセキュリティ・サービス「コナ(Kona)」について、2020年までに同社全体の売上高50億ドルという同社目標の達成に寄与すると指摘。アカマイの2012年売上高は13億7000万ドルで、目標達成のためには年間平均成長率17%または18%の実現が必要だ。

 アカマイは、データ・トラフィック増加の一方で、従来型CDNサービスの価格が年率15〜20%低下するという課題を抱えており、セキュリティ事業強化の背景には、そういった事情があると指摘される。

 ウェブ・セキュリティに対する需要はインターネット系企業や金融サービス会社を中心に高まっている。同市場にはチェック・ポイント(Check Point Software)やパロ・アルト・ネットワークス(Palo Alto Networks)といった新興大手が乱立する。

 通信機器製造大手シスコ・システムズ(Cisco Systems)も7月に、ソースファイヤー(Sourcefire)というセキュリティ技術企業を27億ドルで買収することで合意、同市場に参入することを明らかにした。データ・センター向け機器提供のF5ネットワークス(F5 Network)も、セキュリティ市場に参入している。

 アカマイのトム・ライトン最高経営責任者(CEO)は自社のセキュリティ事業の特徴について、「(サイバー攻撃を)データ・センターに到達するはるか前に阻止することにより、従来の方法では不可能だった大規模攻撃にも対処する」と述べ、その優位性を強調する。

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