アップル、GTアドバンストと提携 〜 製造過程の一部を米国内に移管

 アップル(Apple)は、サファイア素材を提供するGTアドバンスト・テクノロジーズ(GT)と提携した。アップルがアリゾナ州に建設予定の構成部品製造工場での原材料調達が目的。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、両社の契約は5年間で2015年から発効し、アップルは前払金として5億7800万ドルをGTに支払う。

 GTは、アップルがアリゾナ州メサ(Mesa)に開設する工場に自社の高炉を導入し、自ら管理する予定。GTはまた、同施設に約700人の自社従業員を配置する予定だ。

 サファイアは、適度な硬度から様々な電子部品素材に使われている。有名な例では、発光ダイオード(LED)がある。アップルは、アイフォーン5Sから搭載した指紋認証検知器にサファイア結晶を使っている。

 サファイアは透明で、ガラスに比べて傷に強いことから携帯機器の構成品素材として人気を集めている。アップルが2013年初めに出願した特許申請書には、傷に強い特殊ディスプレイの製造にサファイアを使う技術が含まれている。

 調査会社IHSによると、サファイ・インゴット(原材料)の需要は、LEDとスマートフォンの販売増によって非常に強まった結果、今年から2016年までに50%増になる見通しだ。

 一方、アップルとGTによる今回の提携は、アップルが製造過程の一部を米国内に戻そうとしている方針を示すものでもある。

 アップルはこれまで、製造拠点を主に中国に置いていたが、安価労働力の搾取や外注先の劣悪労働環境をめぐって、度重なる批判を受けてきた。

 アップルでは、最新の高位パソコン機種「マック・プロ」の組み立てをテキサス州で行う計画であることを先に発表している。

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