AT&T、通話データ提供で政府から報酬 〜 CIAへの開示で1000万ドル

 米通信サービス事業社(キャリヤー)大手のAT&Tが米連邦諜報機関からの要請に応えて個人通話データを提供し、その見返りとして手数料を受け取っていたことが関係筋の話で明らかになった。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、AT&Tは、米中央情報局(CIA)による対テロ捜査に協力する形で、個人の通話データをCIAに開示し、CIAから1000万ドルを受け取っていた。

 AT&Tが提供していたのは国際通話の記録で、そのなかには米国民の通話記録も含まれていた。米国人の通話記録は個人を特定できないようになっている。

 AT&Tは、「政府機関からの情報開示要請に対しては、合法かつ適切であることを確認して対応している」と説明したが、詳細を明らかにすることを拒否している。

 これまでにも、AT&Tやほかの大手キャリヤーが米国家安全保障局(NSA)の要請に応えて、メタデータと呼ばれる通話記録を提供していたことが明らかになっている。

 今回の件で、米国の大手キャリヤーが複数の諜報機関と密接な取り引き関係を持っていることが露呈したと言える。

 CIAが受け取っていた情報は、NSAの場合に比べて限定的範囲の情報だという。関係筋によると、CIAがAT&Tに対して特定条件でデータベースを検索するよう依頼し、その結果に抽出されたデータがCIAに開示される仕組み。

 AT&Tは現在、欧州のキャリヤーを買収することに関心を持っており、ボーダフォン・グループの欧州資産を買収するのではないかという観測も報じられている。しかし、今回の件によって、欧州で買収認可を取得することが困難になったとみられる。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
  2. Water lily 今年は年頭から気にかかっている心配事があった。私は小心なうえに、何事も...
  3. 峡谷に位置するヴァウリアル滝の、春から夏にかけて豪快に水が流れ落ちる美しい光景は必見。島には約16...
  4. 2024年6月3日

    生成AI活用術
    2024年、生成AIのトレンドは? 2017年に発表された「Transformer」...
  5. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  6. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  7. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  8. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
ページ上部へ戻る