OLEDの安い生産法を開発〜加州企業、インクジェット式

 カリフォルニア州の新興企業カティーバ(Kateeva)は26日までに、大型の有機発光ダイオード(OLED)パネルを大量生産する方法を開発したと発表した。

 ハイテク情報リビュード・コムによると、OLEDパネルは現在、材料の有機化合物が酸素や湿気の影響を受けるのを避けるため、ダイオードを真空状態で幾層も重ねる方式(真空蒸着)で作られており、こうした取り扱いの難しさとコストが大量生産の最大の障害となっている。

 このため大型のOLEDテレビやディスプレイはまだ数が少なく、高価で、米国ではサムスン電子とLG電子しか販売していない。いずれも価格は1台9000ドル以上するが、メーカーの利益は小さいため採算は取れていない。

 一方、カティーバが発表したOLEDの新しい製造法は、巨大なインクジェット・プリンターのような可動式の装置で素材を印刷するように重ねるやり方。この技術を使えば1回で55インチ型のOLEDディスプレイ6枚分のシートが作れて、生産コストを大幅に抑えられるという。

 カティーバは、OLEDが広く知られる前から印刷方式によるパネル製造を研究しており、酸素や湿気対策としてはコストがかかる真空蒸着法の代わりに窒素室を使うなど、何年もかけて改善を重ねた。同社の共同設立者でマサチューセッツ工科大学(MIT)のナノテクノロジー研究者でもあるブラディミール・ブロビッチ氏は、「半導体業界の入念な方法を見習っただけ」と話している。

 OLEDは、色が鮮やかで柔軟性な上、エネルギー効率も高く、テレビやカメラのほかウェアラブル・テクノロジーなどさまざまな用途で高い将来性が期待されている。市場調査のHISは、柔軟なOLEDだけで世界売上高は2013年の2190万ドルから14年には9480万ドルに激増すると予想。タッチ・ディスプレイ・リサーチによると、大型のOLEDテレビ市場は20年までに155億ドルに達する可能性がある。

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