富士通、IBMのサーバー事業買収に名乗り 〜 包括的ベンダーの地位を狙う

 富士通がIBMのx86系サーバー事業の買収を狙っていることが22日に分かった。IBMは同事業の売却先として、中国のレノボ(Lenovo Group)および米デル(Dell)と交渉中だと21日に報じられたばかり。

 x86系サーバーは、基本的にはパソコンと同じ設計で、販売台数は多いが薄利の製品。サーバー事業は近年、消耗品化と薄利化がいっそう進んでいる。

 IBMでは、事業資源を大規模データや人工知能、予想分析といった高利益事業に集中させる路線をさらに強化するために、薄利のハードウェア事業から撤退する方針を以前から打ち出している。

 IBMとレノボは2013年に、同事業の売買で交渉したが、レノボによる評価額がIBMの売却希望額を大きく下回ったことから、交渉が決裂した。今回の交渉では、レノボに加えてデルと富士通も買収を検討しているため、同事業の評価額が争点として交渉の行方を左右する。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、富士通がIBMのサーバー事業買収を検討し始めた背景には、ハードウェアとソフトウェア、そしてITサービスを包括的に提供する企業向けワン・ストップ・ショップとしての地位確立を目指すという同社の戦略がある。

 それと同時に、富士通は近年、総売上に対する日本国外事業の割合を拡大させようとしてきた。現在、同社の年商400億ドルのうち、60%以上は日本国内事業で占められる。しかし、国内市場の成長が鈍いため、さらなる成長には国外事業の展開を拡大させることが必須と富士通では考えている。

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