「ゲーム機事業からの撤退はない」 〜 任天堂、赤字予想も方向転換せず

 かつてはビデオゲーム機市場最大手として君臨した任天堂だが、同社は先週、3年連続の赤字決算予想を発表し、その存亡が一部で危ぶまれている。金融業界や業界専門家の一部では、「セガの二の舞」とささやかれるほどだ。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、任天堂の岩田聡社長は、劇的に変化するゲーム市場での舵取りを誤ったことを認め、企業変革が必要だという意向を示すと同時に、ゲーム機事業を中核に据えた市場戦略を維持する意思を改めて強調した。

 同社は2013年の年末商戦機向けに、新型ゲーム機のウィー・ユー(Wii U)の価格を下げて販促を狙った。しかし、その売れ行きは芳しくなく、最終的に年間販売台数予想を従来値の3分の2にあたる280万台に下方修正した。

 業界専門家らのなかからは、任天堂にとって今必要なことは戦略の大幅転換であり、携行型機器市場の開拓に注力すべきという指摘も出ている。

 ただ、任天堂は、ゲーム機市場のすべてで苦戦しているわけではない。たとえば、同社の携行型ゲーム機「3DS」は現在でも健在だ。任天堂は、2013年度における3DSの予想販売台数を従来の25%減の1350万台に下方修正したが、それでも3DSは、2013年の世界ゲーム機市場で最も売れた機種だ。

 また、調査会社NPDによると、12月における販売台数では、据え置き型と携行型という別市場ではあるものの、3DSはソニーとマイクロソフトの最新機種を上回った。

 「携帯機器(スマートフォンとタブレット)の氾濫は、ゲーム機の終焉を意味するものではない」と述べた岩田社長は、それらの携帯機器を介して任天堂の知名度を上げて、消費者を最終的にゲーム機にいかに引きつけるかが再建のカギになると語った。

 同氏はまた、これまで培ってきたゲーム機基盤の事業戦略を軌道修正して短期的な利益を求めることには大きな危険がともなうと述べ、良質のゲーム・ソフトウェアがハードウェアの販促につながるという見方を強調した。

 岩田氏はその例として、ガンホー・オンライン・エンタテインメント(GungHo Online Entertainment)の空前のヒット商品「パズル・アンド・ドラゴン」を挙げた。同ゲームは、携帯機器ですでに普及しているにもかかわらず、12月に3DS用が発売されてからわずか1ヵ月以内に100万本を売り上げる大ヒットを記録したという。

 ただ、ソニーやマイクロソフトも独立系ゲーム・ソフトウェア・メーカーを引き込みソフトウェアの充実を図っていることから、市場競争のさらなる激化は確実視される。任天堂の先行きに、多くの不確定要素が残されていることに変わりはない。

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