米国産ヨーグルト、ソチに届かず〜外交の緊張が飛び火

 米政府との緊張関係を続けるロシア政府が、ソチ冬季五輪の米国選手団向けヨーグルト製品の輸入を拒否して物議を醸している。

 ニューヨーク・タイムズによると、米国からの輸出ができなくなっているのは、「チョバーニ(Chobani)」のギリシャ・ヨーグルト5000個分。同ブランドは五輪の公式ヨーグルトに選ばれ、メーカーも選手村へ人員を派遣する予定だったが、ロシアが輸入を差し止めたため7日現在も製品はニュージャージー州のニューアーク国際空港で保管されている。

 ロシア政府は、米国側がヨーグルトの輸出に必要な手続きを怠ったと説明している。これに対し、チョバーニの生産拠点があるニューヨーク州の議員らは「五輪選手のタンパク源が奪われた」と怒り心頭。チョバーニの最高マーケティング兼ブランド責任者、ピーター・マクギネス氏は「ヨーグルトぐらい『外交特権』を認めてくれてもいいのに」と困惑している。

 オバマ政権や関係議員は、在米ロシア大使館やロシアの通商当局に輸入を許可するよう働き掛けている。現在、ニューヨーク州北部で好況の産業と言えばヨーグルト生産ぐらいで、チャールズ・シューマー、カースティン・ジリブランド両上院議員らがギリシャ・ヨーグルトを学校給食に取り入れるよう働き掛けているほか、アンドリュー・クオモ知事も2度目の「ヨーグルト・サミット」を開催して地場産業を盛り上げようとしている。

 ただ、米露の酪農製品摩擦は2010年から続いており、今回の一件も米メーカーをロシア市場から締め出す大きな流れの一部に過ぎないという見方もある。

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