アカマイ、セキュリティ事業を強化 〜 CDNの価格低下で収入源拡充を図る

 コンテント配信網(CDN)事業最大手のアカマイ・テクノロジーズ(Akamai Technologies)は、サイバー攻撃からウェブサイトを守るセキュリティ技術提供のプロレクシック(Prolexic)の買収を18日に完了し、セキュリティ事業の大幅強化に向けた戦略を進めている。

 全額現金による買収額は3億7000万ドル。アカマイのセキュリティ関連企業買収案件としては最大規模。

 業界関係者の間では、アカマイが今後もセキュリティ企業買収を続け、セキュリティ事業を強化するという見方が強まっている。

 インベスターズ・ビジネス・デイリーによると、アカマイはサーバー約15万台で構成する巨大な自社サーバー網を活用することで、不正データを顧客のデータ・センターに届く前に阻止することを目指している、と業界専門家らは指摘する。

 ジェフェリーズ・アンド・カンパニー(Jefferies & Co)の技術業界専門家アーロン・シュワルツ氏は、2013年におけるアカマイのセキュリティ関連事業売上高を総売上高の2%にあたる約5000万ドルと試算するが、2015年にはそれが2億ドルに激増すると予想する。

 また、ウィリアム・ブレア・アンド・カンパニー(William Blair & Co.)のジェイムズ・ブリーン氏はアカマイの戦略について、チェック・ポイント・ソフトウェア(Check Point Software)のようなセキュリティ・ソフトウェア企業と競合するのではなく、分散型サービス拒否攻撃(DDOS=distributed denial-of-service)に注力していると分析する。

 DDOS攻撃対策サービス提供のプロレクシックの技術は、アカマイのセキュリティ製品群を補完するものとして業界専門家らから高く評価されている。

 アカマイはプロレクシック買収の増収効果を月500万ドルと見込んでおり、既存顧客へのセキュリティおよびクラウド製品販売を目的に販売要員を増やしている。

 アカマイがセキュリティ事業を強化する背景には、主力のコンテント配信網事業の価格が市場競争激化によって年15〜20%ずつ下落していることから、利益率の高いサービスへの事業拡張が急がれることが挙げられる。

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