半導体各社、スマートフォン向けで競争激化 〜 戦場は64ビットと8コア

 消費者は、スマートフォンに搭載されているプロセッサーに対しパソコンのそれに対するより強い関心を持たないとこれまで思われてきた。しかし、新興国市場を中心にスマートフォン向けプロセッサーへの要求が強まり、それを受けて半導体製造各社が新製品を相次いで発表している。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、スペインのバルセロナで開催されている国際携帯機器見本市「モバイル・ワールド・コングレス(Mobil World Congress=MWC」では、クアルコム(Qualcomm)やインテル(Intel)、メディアテック(MediaTek)が最新プロセッサー製品を披露し、いずれも64ビットに性能を上げて競争を激化させている実態が浮き彫りにされた。

 クアルコムは2種類の64ビット・プロセッサーを発表。そのうちの一つはコア数が8個で、いずれも高速無線通信網のLTEに対応する。

 クアルコムは2013年まで、64ビットおよび8コアに対して批判的だったが、アップル(Apple)が64ビット・プロセッサー「A7」を発表し、さらにサムスン(Samsung)が業界初の8コア・プロセッサーをスマートフォン向けに発売したことを受けて追従した。

 一方、昨年8月に8コア製品を発表していたメディアテックは今回、4コアの64ビット・プロセッサーを披露した。

 また、スマーフォン向けプロセッサー市場で劣勢から抜け出せないインテルも、省電力型チップのアトム(Atom)の64ビット版2種類を紹介した。同社はパソコン向けプロセッサー市場で長年、64ビット・プロセッサーを提供してきた強みがある。

 インテルが発表した新製品のうちメリフィールド(Merrifield)は、充電池の持続時間を大幅に引き延ばす省電力性を実現。メリフィールドの出荷時期は第1四半期末の見通し。

 かたや、インテルのもう一つの新型チップであるモアフィールド(Moorefield)ではコア数が4つに増やされた。モアフィールドがスマートフォンに搭載されるのは2014年下半期になる。

 そのほか、画像処理プロセッサー開発大手のエヌビディア(NVIDIA)も、64ビットのテグラ(Tegra K1)を1月に発表している。

 各社によるそういった動きはいずれも、製品仕様と処理性能を重視する中国スマートフォン利用者の需要を意識したもので、モバイル・プロセッサーの性能競争は今後しばらく激化すると予想される。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  2. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  3. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  4. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
  5. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  6. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  7. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
ページ上部へ戻る