乗組員なし、ドローン船開発へ〜ロールスロイス、10年以内を想定

 英ロールスロイスは、無人で貨物を運搬する「ドローン船」の開発を進めている。

 ワシントン・ポストによると、ロールスロイスの「ブルー・オーシャン」開発チームはこのほど、ノルウェー・オーレスンにあるオフィスに、船橋からの360度のながめを映し出す「仮想現実操舵室」の試作品を設置した。

 幹部船員が陸上から操縦するドローン船は、通常の貨物船よりも安全でコストが安く、環境汚染の水準も低い。オスカー・レバンダー副社長は、安全性やコストに対する業界や労組の懸念や政府の規制といった障害があるものの、10年以内にバルト海などでドローン船が航行を開始する可能性があるとみている。

 欧州連合(EU)はドローン船の開発事業に480万ドルの資金援助を行っている。コストとベネフィットを評価するシミュレーションは2015年に終了する予定。

 自動車部門をBMWに売却したロールスロイスは、航空機エンジンやタービン製造が中核事業。船舶エンジン事業は総売上高の16%を占めている。

 レバンダー氏によると、乗員の生活区域である船橋や電力、エアコン、上下水道機能を廃止することでドローン船はコストを大きく減らし、収益を押し上げられる。業界コンサルティングのムーア・スティーブンスによると、大型コンテナ船の運営コストの約44%は1日当たり3299ドルといわれる乗組員の人件費が占める。

 船舶の安全認証最大手DNVのトール・スべンセン海運部門最高経営責任者(CEO)は、無人船による費用対効果はあまり大きくないと指摘しながら「近い将来に実現するとは思わない」と述べた。

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