ビットコインのセキュリティ強化に商機か 〜 ザポ、保管サービスを本格始動
- 2014年3月17日
- ハイテク情報
アルゼンチンの起業家ウェンセス・カサーレス氏は、ザポ(Xapo)という新興企業をシリコン・バレーで立ち上げ、仮想通貨のビットコイン(Bitcoin)を使った仮想財布と冷蔵保管庫(cold storage vault)を統合した決済サービスの提供を開始した。
ここで言う冷蔵保管庫とは、いかなるハッキング攻撃からも仮想通貨を守る鉄壁の電脳保管庫を意味する。同保管庫は、世界中の物理的なサーバー群で構成され、生体認証でしかアクセスできず、年中無休の監視カメラで見張られている。
ニューヨーク・タイムズによると、東京拠点のビットコイン専門取引業者マウント・ゴックス(Mt. Gox)の破綻を受けて、ビットコインに関するセキュリティ懸念が増幅するなか、カサーレス氏の新事業は同仮想通貨の流通に信用をもたらすことで、ザポに商機をもたらす可能性もある。
マウント・ゴックスでは、約75万人の顧客が保有していた総額4億5000万ドル相当のビットコインが喪失し、破産申請している。
カサーレス氏は、2011年に初めてビットコインを購入し、その後も買い続け、それらを安全に保管する方法を独自に開発してきた。最初は、三つのビットコインを一つあたり約3ドルで買ったという。
自分のビットコインを安全に保管するうちに、友人の分も保管するよう頼まれ、さらには、金融機関も類似の依頼をしてくるようになり、やがて、富裕層の家族や投資ファンド、ヘッジ・ファンドの運用者らも、カサーレス氏に保管を頼むようになった。顧客の約半数は米国内で、残りは世界中に散らばっている。
カサーレス氏は先日、ベンチマーク・キャピタルが主導した資金調達で2000万ドルのベンチャー・キャピタルを獲得し、事業拡大に向けた資金を得た。
同氏は以前に、デジタル財布のレモンを立ち上げ、それを2013年にライフロック(LifeLock)に4300万ドルで売却しており、シリコン・バレーのベンチャー・キャピタリストから資金を引き出す信用をすでに築いていた。
「ビットコインに対するカサーレス氏の情熱と、デジタル財布や冷蔵保管庫に関する同氏の知識および技術はほかに並ぶものがいない」とベンチマーク・キャピタルのマット・コーラー氏は述べ、ザポの将来性を評価している。
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