米商工会議所、シリコン・バレー支部を設置 〜 技術業界との連携強化狙う

 ワシントンDCで最も影響力がある商業界ロビー団体の一つである米商工会議所は、会員増と影響力拡大を目的にシリコン・バレーに第二の事務所を開設する。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、商工会議所のナンバー2であるデイヴィッド・チャバーン氏が最高執行責任者(COO)職を離れて、シリコン・バレー事務所の開設を指揮する。

 シリコン・バレーの技術企業は、移民やプライバシー、セキュリティ、そして課税といった公共政策に関する難題に直面している。チャバーン氏はシリコン・バレーの起業家や有力者たちに会って、事務所開設案を説明し、それらの問題解決に向けた聞き取り調査をすでに開始した。

 商工会議所には技術大手の一部が入会しているものの、商工会議所は一般的に技術業界を代弁する活動をこれまでほとんど手がけてこなかった。

 チャバーン氏はその点を踏まえて、今後は中小企業や新興企業をはじめ、ベンチャー・キャピタリストや投資家の入会に注力する計画だ。

 1912年設立の商工会議所には現在30万強の会員がいるが、企業名は公開されていない。

 チャバーン氏はシリコン・バレーのIT業界との交流を深める手段として、モバイル・ソフトウェア企業のフミン(Humin)に個人的に投資したことも明らかにした。

 一方、技術大手は以前から、ワシントンDCに独自のロビー活動拠点を個々に開設している。技術業界有力大手の大部分は商工会議所と密接なつながりを持たないため、商工会議所が今後、技術業界にどの程度の影響力を持つようになるかは不明だ。

 過去の議員選挙において商工会議所は、シリコン・バレーで不人気の共和党候補を支持したという経緯もあるため、それが会員募集の妨げになる可能性もある。

 アップル(Apple)とヤフー(Yahoo)はそれぞれ2009年と2010年に商工会議所から脱会している。

 また、ソフトウェア開発オートデスク(Autodesk)のカール・バス社長兼最高経営責任者(CEO)は、商工会議所の方針や見解がシリコン・バレーの多勢の意見と合わないと指摘している。

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