環境汚染の和解金51.5億ドル〜アナダルコ、司法省に支払い

 エネルギー大手アナダルコ・ペトロリアムの石油・ウラン鉱山開発部門カーマギー(Kerr-McGee)が長年にわたって全米に及ぼした環境汚染について司法省が損害賠償を求めていた問題で、アナダルコはこのほど、放射性有害物質の清掃費用として51億5000万ドルを支払うことで同省と和解した。

 ロサンゼルス・タイムズによると、環境汚染の和解金としては過去最大。2006年にアナダルコが買収したカーマギーは、南西部の先住民ナバホ居住区にウランを廃棄したほか、シカゴにトリウム、北東部、中西部、南部にクレオソート、ネバダにパークロレートを廃棄して土壌汚染などを引き起こした。

 カーマギーは買収される前、石油やガス探査事業の維持を図って、汚染地域の清掃責任を分離・独立させたトロノックス(Tronox)という会社に移したが、この結果トロノックスは経営破綻し、環境汚染の責任を取ることができなくなった。

 ジェイムズ・コール司法長官代理は「カーマギーは、全米で長期的に残る大規模な環境汚染を引き起こし、その責任を逃れて多額の清掃コストを納税者に負担させようとした」と指摘した。

 司法省によると、和解金のうち11億ドルはミシシッピ州コロンバスにあるカーマギー・スーパーファンドなど汚染地域24カ所の清掃に、さらに11億ドルはロケット燃料でネバダのミード湖を汚染した元化学工場の清掃に充てられる。ミード湖は南西部の重要な水源であるコロラド川に流れ込んでいる。

 また9億8500万ドルは、ナバホ居住区周辺の約50カ所に放置されたウラン鉱山の清掃に充てられ、ナバホ居住区はこれとは別にニューメキシコ州シップロックの元ウラン工場に残った放射性物質への対応資金として4300万ドル以上を受け取る。

 このほか約2億2400万ドルはニュージャージー州グロスターのトリウム汚染、2億1700万ドルはこれまで環境保護局(EPA)がニュージャージー州マンビルの清掃に投じた費用の弁済などに充てられる。

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