自動ブレーキ問題に頭抱えるメーカー

 自動車メーカーと関連機器メーカーは、高騰する世界的な自動ブレーキシステムの需要を満たすことが、新しい技術問題が原因で困難だと感じている。自動ブレーキシステムは、自動車業界が推進する完全自動運転化に付随する新しい技術のうちの最初のものだ。

 高速道路交通安全事業団(NHTSA)は、同システムが予期せず時速40マイルで起動し、事故を引き起こすような特定の事例を調査中である。さまざまな場所、また異なる道路の状況で、インパラのドライバーが何人か、そのような経験に遭遇したとNHTSAは語っている。自動ブレーキシステムは前方の車をカメラとレーダーで検知し、衝突前にスピードを落とすか、停止させる。今年1月、NHTSAは、2018年5月までに後方カメラの標準装備を義務化させることを発表した。自動ブレーキシステム誤作動による後方車との衝突を減らす狙いもある。

 富士重工は、レボルグの新モデルの発売を6月20日まで延期すると発表した。発売延期の理由は、自動衝突回避ブレーキシステム、アイサイトに必要なカメラと他の部品の供給の遅れである。1月にレボルグの注文を受け始め、そのうちの90%以上がアイサイト装備のモデルである。同様に、昨年発売のトヨタの高級セダン、クラウン・マジェスタの購入者の90%が、衝突前ブレーキアシスト技術を選択した。2月に日本で発売された日産の高級スポーツセダン、スカイラインも前方衝突警告機能を備えている。日産は、SUV、Xトレイルにも同様の緊急ブレーキシステムを搭載している。Xトレイルの注文客のうち65%は、さまざまな形式の安全強化装備を要求している。

 自動ブレーキステムは通常、次の3つのうち1つの技術に依存する。アイサイトのような内蔵型のカメラシステム、ミリ波レーダー、それら2つよりも費用が安価な赤外レーザーである。メルセデスベンツの一部の高級モデルは、3つすべてを装備している。自動ブレーキステムに使用される部品の生産では、日本の自動車メーカーと共同で取り組むヨーロッパのサプライヤーが増えている。日本の自動車メーカーも、自動ブレーキ装備の車両を市場により多く導入したいからだ。

 自動ブレーキ技術における進化は、世界の大手自動車メーカーが2020年までに商用化を望んでいる自動運転自動車の開発に確実に弾みをつけた。

 米国のコンポーネントメーカー、TRWオートモーティブは、今後3年間で、日本で雇用しているエンジニアを50%増員し、150名にする計画だ。同社が日本の自動車メーカーと自動運転自動車用の部品を共同開発しているからである。同社はまた、日産のXトレイルとホンダのコンパクトSUV、ベゼルに電動パーキングブレーキを供給している。

 一方、ボッシュはドライブアシスト・テクノロジーとセンサーをベースとした自動駐車システムを、日本の自動車メーカーに売り込む計画だ。今年末以降、海外で内蔵型カメラの商用生産を開始する。自動車選びの際に、自動ブレーキシステム装備が当然だと見なす消費者が増えるにつれ、世界中の自動車メーカーの競争は激化してきた。イメージプロセッサのような機器の値段を執拗に叩くことで勝因を獲得する動きがあり、結果的にイメージプロセッサは2年前と比較する75%も値段が下落した。

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