EV用電池の安全性向上へ〜電解質に最適な材料見つかる

 バージニア・コモンウェルス大学(VCU)の研究チームはこのほど、電気自動車(EV)などで使われるリチウムイオン電池の電解質に適した無害なハロゲンフリー材料を見つけたと発表した。

 ハロゲンフリー材料は、ハロゲン(塩素、臭素、フッ素、ヨウ素など)やハロゲン化合物を含まない、またはわずかしか含まない材料。

 サプライヤービジネスによると、リチウムイオン電池の電解質では現在、炭酸エチレンや炭酸ジエチルなどの有機溶剤にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、六フッ化ヒ素酸リチウム(LiAsF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)といったリチウム塩が使われる。これらの化学品は入手しやすい半面、人体や環境に有害で爆発の危険があったりするため理想的とは言えない。

 その点、VCUチームが発見したいくつかのハロゲンフリー材料は無毒であり、リチウムイオン電池への機能上の適性は従来の物質と同等だという。電解質への適性を調べるため、チームはイオン伝導の過程でリチウムイオンを移動させるのに必要なエネルギーを算出し、親水性を確認した。その結果、リチウムカルボラン(Li(CB11H12))が最適と判断された。

 今回の発見は、より安全で環境に優しい電池の材料としてメーカーに注目されそうだ。ただし、これらの材料は研究所の実験施設でしか生産できず、量産化が課題となる。

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