画期的なアルミ生産法を開発〜アルコア、自動車向けの強化型

 アルミ大手アルコアはこのほど、強くて成型が容易なアルミ合金の製造法を開発した。アルミが鉄鋼に代わって車のドアやフェンダー素材に使われる可能性を高める画期的な方法だという。

 AP通信によると、まだ試験段階だが、この方法を使えば従来より強靭で、車の部品として成型しやすく、鉄鋼より軽いアルミ合金の薄板が造れる。自動車メーカーと共同実施した試験は成功しており、2018年までに市販車両で使われる可能性があるという。

 アルコアは近年、アルミの採掘や製錬から、自動車や航空機用の部品に成型できるアルミ商品の生産へと事業の軸足を移している。自動車業界では長年、より軽く燃費の良い車を作るためにアルミの使用範囲が広がってきたが、アルコアは年間10億ドルに上るドアやフェンダー用鋼板市場をアルミ主流に変えることを目指しており、最近ではフォードが15年型「F150」ピックアップ・トラックの車体を97%アルミにする決定を下したことで勢いづいている。

 フォードはこの素材変更で、5000ポンドあったトラック1台の重量を700ポンド軽くした。これまでも、テスラ・モーターズの電気自動車(EV)「モデルS」などスポーティーで比較的販売量の少ない車にはアルミが使われることがあったが、軽い素材は厳しくなる燃費基準への適合に利用できるため、「フォードの決定は鉄鋼業界を脅かす」と見るアナリストもいる。

 アルコアのクラウス・クラインフェルド最高経営責任者(CEO)によると、自動車メーカーは安全性や車のデザインに合わせて成型できる鋼板のような特性を持ちながらより軽い素材を求めている。そのため同社としては、成型しやすい新しいアルミ素材の生産技術を「飛躍的に前進させる必要があった」という。

 これまでの生産法は、アルミを巨大なスラブ(厚板)にし、再加熱して圧力を加えながら薄板やコイル状に加工するやり方だったが、テキサス州サンアントニオのアルコア実験施設で使われている方法は最初の工程を省き、まず厚さ5ミリの薄板にしてそれをロールやコイルにしている。

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