GPSによる従業員追跡が波紋を広げる 〜 私生活が差別につながる可能性も

 国際電子送金サービス会社インターメックス(Intermex)の元幹部ミルナ・エイリアス氏は、会社から支給されたスマートフォンのGSP対応アプリケーションによって、会社が就労時間外の自分の行動を追跡できることを知り、そのアプリケーションを無効にした。同氏は、それが原因で解雇されたと主張して元雇用主を訴えた。

 GPS対応技術で従業員を追跡する企業は増えている。この種の追跡機能は車両によく使われているが、最近はスマートフォンに搭載される例が急増している。

 ワシントン・ポストによると、インターメックスは従業員にスマートフォンを支給し、「ゾーラ・ストリートスマート(Xora StreetSmart)」というアプリケーションを実装するよう指示した。

 ゾーラ・ストリートスマートは、アップル(Apple)のアイチューンズ(iTunes)とグーグル(Google)のアップ・マーケットプレイスで提供されている。ゾーラによると、同アプリケーションの利用料は従業員一人あたり1日約1ドルだ。

 従業員は同アプリケーションを使って出勤や退社の時間を記録し、各種の書類に記入することもできる。問題は、それが従業員の行動まで追跡する点だ。

 この種のアプリケーションはすでにいくつも出回っている。たとえば、モバイル時間追跡アプリケーションの「ティーシーツ(TSheets)」は、勤務時間中の従業員の位置情報を収集し、従業員が退社するとGPS機能はオフになる。

 エイリアス氏の弁護士によると、同氏は営業という職種がら、退社後も電話の電源を入れたままにしている。勤務日に動きを監視されるのは構わないが、休日にも追跡されることは受け入れがたいと主張する。

 アバディーン・グループ(Aberdeen Group)が2012年に実施した調査によると、「現場社員」を抱える企業の62%が従業員追跡にGPSを利用しており、2008年の約30%から急増した。

 GPS技術による従業員追跡は、運輸業界を筆頭に多くの業界では確かに有用だ。しかし、それが従業員の生活にまで踏み込むとなると話は別だ。

 米自由人権協会(American Civil Liberties Union)のジェイ・スタンリー上級政策専門家によると、従業員の物理的位置追跡に関する指針はあまりない。しかし、位置情報をつなぎ合わせると、好きな店や医院、友人や恋人の住所など、従業員の私的生活についてかなりの部分が見えてくる。

 また、それらの情報が雇用主による従業員差別につながる可能性もある、とスタンリー氏は指摘する。

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