身体装着端末を使った従業員追跡が増加か 〜 生産性向上と医療費抑制を狙う
- 2015年6月4日
- ハイテク情報
企業向け身体装着機器市場は向こう5年間に急成長する見通しだ。従業員の行動を監視し、生産性向上に役立てたいという企業側の意図がその背景にある。
フォーブス誌が紹介した調査会社トラクティカ(Tractica)の報告によると、身体装着型端末の売上高全体に占める企業向けおよび産業向け売上高の割合は、現在の1%から2020年までに17%に拡大する見込みだ。出荷台数は2013年の16万6000台から2020年には2750万台に達し、年率平均108%で成長する見通しだ。
成長要因の一つとして、健康状態を監視する検出器を実装したフィットネス・トラッカーやスマート腕時計の利用を従業員に推奨する企業が増えていることが挙げられる。
従業員の自発的健康管理を促すことで、結果的に企業が負担する月々の健康保険掛け金を抑制するのが目的だ。従業員にやる気を出させるために、賞罰を設ける企業もある。
セールスフォース(Salesforce)によると、企業が負担する医療費の70%は食生活や運動、ストレスに関連した症状や病気に関連しており、それらの改善を促すことで企業は経費削減を期待できる。
トラクティカによると、人事部が人材管理のためにデータ駆動型手法を重視する最近の傾向を「人間解析(people analytics)」と呼び、身体装着端末の利用もその一環として広まる可能性が取り上げられている。
グーグルは、人間解析に取り組む先駆的企業の一つで、人事部管理職や工学技術者、組織行動専門家による人間解析特別班を数年前に発足させた。人材管理に関連する問題に取り組み、従業員の生産性向上に寄与している。
フィットネス・トラッカー大手のジョーボーン(Jawbone)とフィットビット(Fitbit)は、企業向けソリューションをすでに投入済みだ。
セールスフォースは2014年6月に、身体装着型端末向けのプラットフォーム「セールスフォース・ウェア(Salesforce Wear)」の提供を開始。営業担当者の運動量や睡眠様式および傾向、営業成績との関係を分析し、将来的には四半期業績の予測に役立てることも視野に入れている。
一方、身体装着型端末をめぐっては、個人情報をいかに保護するかといった課題が当初から指摘されている。保険会社のUSAAは2014年に、プライバシー侵害を懸念し従業員による勤務中のグーグル・グラス(Google Glass)着用を禁止した。
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