コンピュータ専門家がインスリン投与装置を開発

 コンピュータの専門家らが設立した新興企業ビッグフット・バイオメディカル(Bigfoot Biomedical、カリフォルニア州)が、糖尿病患者に必要なインスリン供給装置の開発で急速に前進している。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、糖尿病患者にとって、血糖値を監視して必要な時に必要なだけインスリンを注入する人工膵臓(すいぞう)は長年の理想だが、糖尿病の息子を持ち2014年秋にビッグフッドを設立したブライアン・マズリッシュ氏は、これに近い装置を開発。現在は18年までの市販を目指して必要な技術の構築を進めている。

 5月にはインスリン・ポンプ製造のアサンテ(Asante)の資産を買収し、先週は人気の高い血糖値モニターの製造元デクスコム(Dexcom)との提携を発表した。ビッグフットの共同創設者でかつて糖尿病患者支援団体の責任者を務めたジェフリー・ブリュワー最高経営責任者(CEO)は、資産獲得や提携によって連邦食品医薬品局(FDA)への認可申請に必要な検査を16年末には始められると見ている。

 米国内の糖尿病患者は約2900万人に上り、うち150万〜300万人が膵臓からうまくインスリンが分泌されない1型糖尿病を患っている。血糖値は高すぎても低すぎても命にかかわり、患者は常に血糖値、食事、運動量に注意しながらインスリンを体に注入して血糖値を正常に保つという大変な生活を強いられている。

 プログラマーのマズリッシュ氏は、4年前に息子が1型糖尿病と診断された時、購入すべき株を予想するコンピュータ・コードを書いていたが、似たような原理で血糖値の調整に必要なインスリン量を予想できると考えた。試行錯誤の末、血糖値モニターをスマートフォンで機能するプログラムとつなげ、患者が運動量や食事量に関する情報を入力するだけで、体に必要なインスリン量をワイヤレスでインスリン・ポンプに指示する試作品を開発しており、息子は2年以上これを使ってうまく生活しているという。

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