米石油生産、減少に転じるか〜原油安で開発の資金調達困難に

 原油価格が大幅に上昇しない限り、米国の石油生産量は近く減少に転じるとの見方が業界で強まっている。

 ロイター通信によると、今月初めロンドンで開かれた業界会合「Oil and Money」で、「今の価格は安すぎて米国のシェール油生産を支えきれない」との見方が大勢を占めた。石油会社EOGリソーシズ(テキサス州)の元最高経営責任者(CEO)で現在はエネルギー投資会社リバーストーン・ホールディングスのパートナーを務めるマーク・パパ氏は「米生産は今月にも停滞し、来年初頭から減少し始める」と予想しており、主因は新しいシェール開発に対する銀行の融資不足だという。

 英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルのベン・ヴァン・ベアーデンCEOも、生産者が資金再調達に苦しんで将来の生産量が減少する可能性を指摘し、「業者は生き残るために新しい資金を探しているが、恐らく調達は難しい。長期的には世界的な生産量の減少で石油価格が高騰する危険性がある」と述べた。

 米国の石油生産は、シェール(けつ岩層)に閉じ込められた天然ガスや石油を採掘する新技術の導入が始まった2012年中盤以降、日産量が前年比100バレル増のペースで伸び続けたが、ここ数カ月は石油価格の大幅な下落を受けて減速を始めている。世界的に生産量が低下すると、将来需要が高まった時に価格が高騰する可能性が出てくる。

 米エネルギー情報局(EIA)のアダム・シーミンスキ氏によると、米国の石油業界は生産効率の改善で値下がりに対応してきたが、いつまでも続けることはできず「少なくとも短期的には限界が見え、生産に影響が出始めている。米国の石油生産は来年の夏まで減少する」と予想。石油輸出国機構(OPEC)のバドリ事務局長は「アップストリーム(上流部門)の投資減少で、16年にはOPEC以外の生産国の石油供給量がゼロ成長になる可能性もある」と話した。

 一方で、パパ氏は長期的には米生産量が増加すると見ており、「軽質原油の価格が1バレル=75ドル以上に回復すれば、米生産は再び日産50万バレル前後のペースで増え始めるだろう」と予想した。

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