グーグルの地図サービスで世界の道路沿いの風景を撮影しているカメラ搭載車両「グーグル・ストリートビュー」が、都市の天然ガス漏れの検知でも活躍している。
天然ガスの主成分であるメタンの温室効果は二酸化炭素(CO2)の10倍で、大気中への放出を食い止めることが地球温暖化の軽減策の1つと言われる。しかし燃料としての天然ガス需要が高まる中、ガス管からの漏れが都市問題の1つになっている。
グリーンカー・リポーツによると、ストリートビュー車両は現在、米国内の5都市で天然ガス漏れの数値を測定し、研究者に資料として提供している。
大量のガス漏れは当局やガス会社による検知や測定が可能だが、燃料用ガス生産施設から家庭やオフィスに通じる低圧ガス管からは常に微量なガスが漏れている。都市部では通常、こうした汚染はセンサーを搭載した飛行機を使って上空から測定されるが、その方法では、どのガス管から漏れているのか特定することも、その深刻度を測定することも難しい。
ストリートビュー車両によるガス漏れ検知は、コロラド州立大学と環境団体の環境保護基金(EDF)、グーグル・アース・アウトリーチ(非営利団体向けサービス)との共同チームが、メタンガスの排出レベルを測定する方法を考案して実現した。地図用のデータを収集する車両(2012年式スバル・インプレッサ)を改良し、フロントバンパーに吸気管と即時分析装置を取り付けた。さらに場所を特定し、環境データを収集する機器を屋根に装備した。
この調査によって、バーモント州バーリントン、インディアナ州インディアナポリスなどではガス管を経年劣化する前に取り替えることができた。しかし、ボストンやニューヨーク市スタテン島のような歴史の古い都市では、年間にそれぞれ1300トンと1000トンのメタンガスが漏れていることが分かったという。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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